リンク:機械翻訳サービス|中国語・韓国語翻訳なら高電社
あ、最初に断っておきます。
私は、機械翻訳に対して別にラッダイトなわけではありません。最近、機械翻訳でもできそうな仕事というのはほとんど来なくなりましたが、そういう仕事はどんどん機械化してもらっていいと思ってますし、単に科学技術的な興味として、機械翻訳の進化というのは、けっこう楽しく見まもっています。
要するに、機械翻訳にからむ問題というのは、ソリューションやそれを提供する側ではなく、
お役所仕事批判
ということになるのかもしれません。
さて、高電社のページ。
官公庁が使っているソリューションは、これのようです。
Myサイト翻訳|株式会社高電社
ページのいちばん下に、「導入実績」とあって、見てみるとたしかにかなり多くの地方自治体の名前があがっています。上でご紹介したブログにあるように、甲府市や仙台市も。法人で年間36万円ですか? たしかに、地方自治体にとっては手頃な価格かも。
おっと、さいたま市もありますね。では、そちらを見てみることにします。
ページの右上にリンクがありました。

英文ページに進もうとすると---

なるほど。まずは、言い逃れ免責ダイアログを表示するわけですね。これも、ソリューションによる生成の模様。"Powered by J-Server Professional"っていうロゴがありますから。
だったら、せめて
免責条項くらいまともな英語で書けよ
と思うのですが……。
実際に英語ページに進んで、"Child Care/Parents" というページを見てみました。
"Child-raising trigger support book"とか、すぐにヘンな英語が目につきます。傾向は、ブログの方が紹介している数々の事例と似ています。
そのページに進んでみました。
リンク:Saitama City/Child-raising trigger support book
"Child-raising trigger support books" are events of all kinds' group supporting child-raising in the area, a sarong and the book which gathered club information.
When looking for an idle place with a child, a place by friend making and a club, by all means, please utilize.
だそうです。さっそくほとんど意味不明。その下にある本の紹介も。
I'd like to find you child's friend.
My company who can chatter wants.
I'd like to meet the person who knows information on child-raising.
How I can play with a child, there is no Waka.
I'd like to consult about worries of child-raising....
At such time, wouldn't you like to go out resolutely?
同じページを下に読み進んでいっても、なんとか意味の通る部分は半分もない。
これで、「何もないよりマシ」と言えるのでしょうか。私が発注元だったら、こんなの
年間36万だってもったいない
と思うのですが。
ちなみに、元の日本語はこうでした。
「子育てきっかけ応援ブック」は、地域で子育てを応援している各種団体のイベントやサロン、サークル情報をまとめた冊子です。
お子さんとのあそびの場やお友だちづくりの場、サークルなどを探す際にぜひ、ご活用ください。
子どものお友だちを見つけてあげたい
おしゃべりできる仲間がほしい
子育ての情報を知っている人と知り合いたい
どうやって子どもと遊んでいいかわからない
子育ての悩みを相談したい・・・
そんなときには、思い切って出かけてみませんか?
ためにし、Google先生にも翻訳してもらってみました。
" Parenting opportunity cheer book " is a booklet that summarizes the events and salons , Circle information of various organizations that support the child-rearing in the region .
Play places and friends making a place for your child , by all means when you look for , such as Circle , please take advantage
I want to give to find the friends of children
I want fellow that you can chat
I want to know the people who know the information of child-rearing
Do not know how I play with children doing
I want to consult the trouble of raising children ...
When such is , why not go out and take the plunge ?
ちょっとはマシか、いや、五十歩百歩かなぁ。
■
おそらく、官公庁にしたら予算がすべてなんでしょうから、残念ながらいくら声を張り上げても、こういうソリューションによる「ヘンテコ英語」の垂れ流しは、止まらないでしょう。
一方、機械翻訳は、着実に進化しています。最近、特に2020年オリンピックが決まってからは、いろんなところが、使い物になる機械翻訳ソリューションを開発しようとしていることが報じられました。
いっそのこと、機械翻訳は
一刻も早く、どんどん進化してください
と切実に願います。
翻訳業界の一部は侵食されるかもしれないけど、それでも、こんな呆れた「英語」が垂れ流されるよりマシ。
翻訳者は、進化した機械と競合しない仕事をめざせばいいだけのことです。
■
最後にひとこと。
免責メッセージを出せばヘンな翻訳が許される
ってもんでもないだろう(※)。
言葉っていうのは、文化を支える根本だ。
その言葉を、他言語使用者に向かって発信するというのは、異なる文化の橋渡しを担う大切なしごとだ。そういう文化の根幹をないがしろにしたらダメだろ。
逆に、その橋渡しをきちんと、ときには命がけでしてきた先人があって今の世界がある。
そういう重さを考えたら、あんなメッセージ1ページで済ませられるはずもない。
提供するほうも使うほうも、そういうことを、ちょっとは考えてほしい。
※Microsoftなどで、免責の一言を書いたうえで機械翻訳を使っているサイトは増えているが、そのへんはPEも併用しているのか、もっとずっとマトモな出力になっている。
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