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2013.10.14

# 新・午前十時の映画祭 ~『燃えよドラゴン』

★★★☆☆

なかなか行けなかった「新・午前十時の~」。六本木で『許されざる者』の2回目を観る、ちょうどその前の時間帯だったので、行ってきました。

これも、テレビやビデオでは何回見たかわからないくらい何度も見てますが、スクリーンでは初公開当時以来初めてです。

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いろいろと難点もなくはないけど、やっぱり何度見ても楽しい純粋娯楽作品。

これ以前の3作品とは違って一気にハリウッド色が強くなり、脚本も実に70年代アメリカ王道映画的。王道とはある意味「無難」なわけで、その辺がクラシック作品になりうる要素なんでしょうね。


今回は、今までの「新・午前十時~」と違って休日だったせいか、前夜の予約時点でほぼ満席。久々に最前列で観ることになりましたが、東宝シネマズ六本木のプレミアスクリーンなので、リクライニングしてけっこう楽に観られました。

ただ、デジタル上映館の最前列って、

スクリーンのピクセルが見えちゃう

んですね。あれは、気になると言えば気になります。デジタル上映で最前列は絶対に避けることにします。

それから、この席だと字幕を見ようと思ったらけっこう苦労するはずですが、なにしろセリフをかなり覚えているくらいだし、そもそも聞き取りには苦労しない映画です。


(以下、ネタバレ含みますが、まあ、今さらですよねw)


それほど何度も見ているはずなのに、今までけっこう軽く見飛ばしていたせいか、改めて気付いて感心したシーンもありました。悪役ハン(シー・キエン)が、舞踏会参加者の一人であるローパー(ジョン・サクソン)に私設博物館を案内するところです。

歴史上の武具や拷問道具が展示されているなかに、ハン自身が失った左手の代わりに使う義手兼武器のアタッチメントも並んでいます。

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そのいちばん最後の展示品に目をとめたローパーが "What's this?" と尋ねると、ハンは一瞬の真顔の後でニコっとしながら、 "A souvenir." とだけ答えます。

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これ。どう見ても白骨化した自分の左手なんですけど、どんな過去があったのかはいっさい語られません。悪役のキャラクター作りには、なかなか効果的でしょ。


それから、同じ部屋で小ぶりのギロチン台をめぐって交わされるセリフも気が利いてます。ハンは、その斬首台に飼い猫を置いて "Very few people can be totally ruthless." と、いかも敵役なセリフを口にしつつ、刃を落とす引き鎖を手にします。

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いやもう、最近ではとんと見かけなくなった、わかりやすくて素敵な悪役ぶりです。しかもハンの話すアジアなまり英語も、最高にいい味を出してますよ。

そして、見かねたローパーはそのネコを抱き上げて放してあげながら、こう言うわけですよ。

"Now you've got eight more."

字幕には出ていなかったのか(手元のDVDでは「死に損ないめ」でした)、客席からは何の反応もありませんでしたが、このくらいの映画でさえこんなこじゃれたセリフが出てくるところに、私はいつもハリウッド映画の奥深さを感じます。

久しぶりの大画面で観てもうひとつ圧倒的に面白かったのは、オープニングからしばらく続く、香港の水上生活風景ですね。アジア的な光景をここまでじっくり映すというのは、『燃えよドラゴン』以前のブルース・リー作品にはありませんでした。

アジア以外の観客を意識したからこそ、あの不思議な世界をたっぷり見せようとしたのでしょうね。ちょうど、『ブラック・レイン』でリドリー・スコットが撮った大阪などと同じです。

しかもその撮り方が、娯楽作品にありがちな大げさな画面になっていないところに感心します。ローパーが乗っている渡し船など、船頭が若い女性ですが、さりげなくその足元に犬が同乗してたりする。いいですよ。

ブルース・リーのこと、何にも書いてませんね。いやもう、かっこいいです。以上。

有名な鏡の部屋のシーン。老師の語った台詞が頭をよぎります。

"... The enemy has only images and illusions..."

"Destroy the image, and you will break the enemy."

"Destroy the image" で、文字どおりに鏡を割り始めちゃうという即物さが、何ともご愛敬でした。

12:23 午後 映画・テレビ |

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コメント

帽子屋さんのtweetを見てどうしても観たくなり、今朝早起きして六本木まで出かけたのですが、着いた時には満席でした……まさかそこまで混むとは思いませんでした……休日の六本木を嘗めてました。

投稿: CHARADE | 2013/10/14 22:31:45

だから混みますよって言ったじゃないですかー ^^;

投稿: baldhatter | 2013/10/15 5:26:25

帽子屋さん、はじめまして
燃えよドラゴン、いいですね。高校生のときでした。ちょうど青春真っ盛り。
いまでも冒頭の少林寺のシーンからわくわくします。ぼくのお気に入りは、リーが弟子に指導するときの台詞でした。そのころの洋画は台詞がとても聞き取りにくいものが多かったのだけど、この映画はとてもわかりやすい英語でした。

この映画もできたら3D化してほしいですね。

投稿: かわ | 2013/10/15 17:07:17

数ヶ月前、wowowで特集をやっていたので、数作品録画しています。使われている英語は、簡単な英語が多いですが、結構、深い意味があると思います。

投稿: takey | 2013/10/16 21:56:08

かわさん、コメントありがとうございます。

3D化、そうですね。私、先日まで3Dをなめてたんですが、IMAX体験で宗旨替えしましたから。もしこの映画があの画質になったら、香港の水上生活民風景とか、かなり楽しめそうです。

投稿: baldhatter | 2013/10/23 21:40:33

> 簡単な英語が多いですが、結構、深い意味があると思います

そうなんですよね。中学生でもわかるくらいの会話ですが、味わいがあります。

投稿: baldhatter | 2013/10/23 21:41:37

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