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2013.07.28

# 「読ませるIT翻訳」第2回のご報告、その他

先日お伝えしたとおり、6/22の 「 読ませるIT翻訳 ~マーケティング・販促資料の英文和訳~」がご好評だったので、昨日7/27にその第2回を開催し、どうにか無事に終了できました。

同じ内容で2回リピートというのは私も初めての経験。

2回目のほうがスムーズに進んだせいか、休憩までの進み具合が予想以上に早く、こりゃ時間が余るかな、とも思ったのですが、ご参加のみなさんからわりと積極的なご意見もいただいたおかげで、予定どおりに終了できました。


1回目のときには失念していて、

2回目でだけお伝えした情報

がひとつあります。日本語コーパスを検索できるサイトです。

KOTONOHA「現代日本語書き言葉均衡コーパス」 少納言

NINJAL-LWP for BCCWJ (NLB)

「自然な日本語」を書こうとするとき、強力な武器になるはずです。

さて、2回とも終わったのでもうネタばれしていいと思いますが、今回

billions of business users

の部分に、かなりの方が引っかかってしまったというのは、おもしろい結果でした。逆の立場だったら私もやられてしまった可能性は大です。

これ、実は昨年のアルク翻訳コンテストで出題した

6,912 languages

と同種のワナでした。


どちらも、最初から意図したわけではなかったのですが、こういうワナが入っているのは、私が課題文を出題するときの傾向かもしれません。

さて、おかげさまで2回を通じて50名超の方にご参加いただいた今回の「読ませるIT翻訳」。

同様のセミナーの第2弾(シリーズ化?)希望という声を少なからずいただいているようで、まだ何も決まっていませんが、どうやら実現の方向に動き出しそうです。決まったら、またこちらやFacebook上で告知させていただきます。


6/22、7/27にそれぞれご参加くださったみなさま、ありがとうございました。m(__)m

12:25 午後 翻訳・英語・ことば | | コメント (0) | トラックバック (0)

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2013.07.15

# forwad compatibilityとbackward compatibility

某所で出題した課題文に、forward compatibilityという用語が出てきます。

forward compatibility
backward compatibility

ついでに、

upward compatibility
downward compatibility

さらに、

upper compatibility
lower compatibility

まで含めると、用法がカオスになっています。英語だけ見ても使われ方は混乱してますし、訳語もばらばら。そして、あらためて調べてみたら、少なからぬ辞書で説明までいいかげんであることが分かりました。

手元にある辞書やオンラインの用語サイトなどから、

forward compatibility/backward compatibility

upward compatibility/downward compatibility

の訳語と語義を一覧にしてみました。

compatibility訳語・語義一覧
(ExcelファイルがDLされます)

upper compatibility/lower compatibility

を含めなかったのは、ざっとの感触でしかないのですが、この組み合わせが日本語サイトで多くヒットするわりに、英語サイトのはあまりヒットしない感じだからです。


英語としての用法についても、訳語まで含めた場合でも、「これが絶対に間違いない記述」と断定できる資料はありません。しかたがないので、以下の一例を基準にしました。

Word 2007以降で、docxだけでなくdocも開ける……A

Word 2003で、docxを開ける(プラグイン必要)……B

一般的に、Aの互換性のほうが簡単ですね。プレステ2でプレステのゲームも動くとか。逆に、Bのほうが難しいのは感覚的によくわかります。プレステではプレステ2のゲームはまず動きません。実現する場合でも、Wordのプラグインのような工夫が必要。「白黒テレビでもカラー放送を受信できた」のはBの例ですね。

私が作った表では、このうちAをクリーム色、Bを水色に塗り分けてみました。

これを見ると、有名どころの辞書でも、訳語にばらつきがあるだけでなく、説明までけっこう杜撰なことがわかります。


リーダーズには、4つのうち3つのエントリがありますが、よく見ると説明がどれも同じになっています。

英辞郎は、訳語のうえでは対がとれていますが、やはり説明が4つとも同じ

ランダムハウスや、日外アソシエーツの『コンピューター用語辞典』など、多くの人が頼っているはずの辞書でさえ、実は解説が

何を言ってるかよく分からない

(分かる人いたら教えてください)。

研究社の『英和コンピューター用語辞典』でも、対になっているはずの概念の説明がやっぱり同じでした。


ここまで混乱している概念/用語も、なかなか珍しいのではないでしょうか。


【追記】

OEDに、upper compatibilityだけ語義の記載があったので、Excelファイルを更新しました。

11:30 午後 翻訳・英語・ことば | | コメント (1) | トラックバック (0)

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2013.07.06

# 「日本翻訳ジャーナル」7/8月号

JTFの「日本翻訳ジャーナル」、新年度2回目となる7/8月号が発行されました。

右カラムのリンクから、どなたでもダウンロードしてご覧いただけます。


今号の表紙は、会長と理事の面々です(左から、東会長、丸山理事、星田理事、井口理事、寺田理事)。

よくある構図ですが、たとえばこれにもよく似ています(『鳥人戦隊ジェットマン』OP)。

130706

私のコーナーに登場するのは、関西在住で俳句も読む翻訳者、国枝史朗さん。

4月に開いた十人十色の正規表現勉強会のとき、わざわざ東京にお越しくださったのですが、そのとき飲み会で伺ったお話がたいへんおもしろかったので、関西編の第2弾として執筆をお願いしました。

なお、国枝さんが折々に読む俳句は、TwitterやFacebookで見ることができます。


ぜひダウンロードして、お読みください。

08:56 午後 翻訳・英語・ことば | | コメント (0) | トラックバック (0)

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2013.07.05

# サン・フレアさん、セミナー報告と次回予告

しばらく前に告知したとおり、サン・フレア アカデミーで、シリーズ講座が始まり、単発セミナーも終了しました。

6/12 ~(毎水曜)「Trados活用IT翻訳者養成講座」がスタート。

6/22 「 読ませるIT翻訳 ~マーケティング・販促資料の英文和訳~」、終了。


6/22は、おかげさまで満員御礼となり、急きょ、おなじ内容の追加実施が決まりました。

リンク:【追加開催決定!】読ませるIT翻訳 ~マーケティング・販促資料の英文和訳~ | サン・フレア アカデミー

【追記】
7/27は、6/22とおなじ内容の予定です(課題文も同じです)。

ただ、性分としてまったく同じことをしゃべるのは難しいかもしれないので、何か違う話はするかもしれませんが、基本は変わりません。


6/22ご参加のみなさんには、事前課題の答案をご提出いただきました。

現役のみなさんから学習中の方まで、かなり幅が広かったのは事実です。現役プロの訳文は、ほとんどが、

私の話なんか聞かなくても、大丈夫でしょ?

と思われるものだったのですが、いろいろ話を伺っていると、やはりプロになってからは、

自分の訳文の善し悪しを知る機会が少ない

ということでみなさん悩んでいらっしゃいました。だから、こういう機会をみなさん必要としていらっしゃったらしい。

たしかに、よほどヒドい仕事をしたらフィードバックが来る会社もあるでしょうが、そうでない限り、自分の訳のどこが良かったのか、どこに問題があって修正されたのか、って産業翻訳だと知る機会が少ないですよね。


ということは、特に私が講師ということでなく、産業翻訳者どうし(特に同じ分野の)の勉強会を開いて、お互いの訳文を評価し合ったり、自分のノウハウを教え合ったりする、そんな場があったらいいのかも、と思いました。

ところで、この日の打ち上げでも、やはりこんな質問をされました。

「自分の翻訳ノウハウとか技術的なノウハウを、こんな風にどんどん公開しちゃっていいんですか?」

と。

(そもそも、私のノウハウなんてたかが知れてますが)この手の質問、いただくたびにいつも不思議に思って、逆に、

「なんで?」

て聞き返してしまうことが多い。どうやら、それって「私が将来的に損をする」という含みらしいのですが、損するのかな?

11:51 午前 翻訳・英語・ことば | | コメント (2) | トラックバック (0)

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2013.07.04

# 新・午前十時の映画祭 ~ 『カッコーの巣の上で』

★★★☆☆

これも、大学生のとき以来ずっと観ていなかった作品の1本。

前回の『アラビアのロレンス』とは違って、観る機会がなかったわけではなく、そうそう何度も観たいと思わなかったし、ビデオ/DVDも持っていない。今回、再鑑賞してみて、その理由が判った。


いい映画だし、アメリカ映画史上に残る1本だとも思うけど、自分にとってそれ以上でもそれ以下でもない、からだ。

130705

「優れた作品かどうか」という価値判断と、観る人が「共感あるいは感動するかどうか」という話が別であるのは言うまでもない。文学作品でも映画でも、その両方が一致していることはもちろんあるけど、一致しないことのほうが実は多いだろうと思う。

そもそも、共感とか感動なんて、時代や文化が違ったらまったく通用しないはずのものだし、極端に言えばぜんぶ個人レベルの体験で、同じ個人だって体験する年齢によって変化することは誰でも知っている。


瀬川丑松の人生に、今の日本人がどれだけ共感できるか疑問だし、まして日本人以外がどんな風に感動するものなのやら。それでも『破戒』の文学作品としての価値は今でもそう揺らいでいないし(たぶん)、あれを優れた作品と感じる外国人だって少なくないだろう。

『史上最大の作戦』は、擬似ドキュメンタりーとして面白いのであって、あれを観て感動したり共感したりする人はあんまりいないんじゃないかと思う。

往年のATG映画を観て、感動はともかく、共感するという現代の若者がいたら、むしろ変人の部類だよね。


そういう時代や文化を超えても(一定以上の人に)共感や感動を与え続けるものが「名作」と呼ばれて受け継がれていく。


『カッコーの巣の上で』は、そういう意味で、優れた作品ではあるけれど、70年代のアメリカ人が観たときと70年代の日本人が観たとき、今のアメリカ人が観たときと今の日本人が観たときと、ではそれぞれ受け取られ方がよほど違うんじゃないかと思う。


そもそも、原作だってこの映画だって万人受けの共感とか感動を最初から狙っていたはずもなく、それ以前の映画にありがちだった感動とか価値観の押し付けを否定するところが、ニューシネマ時代の、いわば真骨頂だったという、そういう映画史的文脈を踏まえずに、今この映画を観るのはけっこう難しいんじゃないだろうか。主人公マクマーフィーやチーフの言動は、公開当時のアメリカ人には熱烈に歓迎されたし、「あの時代」の日本の若者にも十分共感できた。そういう時代の空気を知っている世代なら今観てもそれを思い出すだろうけど、今どきの若い人が初めてこの映画を観たらいったいどんな感想を持つのか、ちょっと聞いてみたい気がする。


「感動とか価値観の押し付けを否定するところ」と書いたけど、ニューシネマとくくられる作品一群の中でも、その辺のスタンスは監督ごと、作品ごと、時期ごとに少しずつ違っていたのは言うまでもなく、だから好みも人それぞれで分かれてくる。そういう多様性も、ニューシネマ時代のいいところだったんだよね。


そんなわけで、この時代のアメリカ映画って、全面的に肯定できるわけじゃないとしても、最近のアメリカ映画が失ってしまったいいところがたくさんあったんだろうな、と改めて思う。30年くらい経ったから、ハリウッドにもそろそろ、「ニュー・ニューシネマ時代」とか、「ニューシネマ・ルネッサンス」みたいな流れが来てもいい頃かも。


この映画をもう1回観ることはそうそうない気もするけど、観るとしたら、ストーリーをまったく無視して、クリストファー・ロイドとかダニー・デヴィートの演技にしっかり注目したいかな。

ルイーズ・フレッチャーのスゴさはもう十分だから、さ ^^;

11:53 午後 映画・テレビ | | コメント (0) | トラックバック (0)

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