# 辞書検索ツール「かんざし」
先日参加した勉強会で、このツールを紹介してくださった方がいて、もちろん私もこのツールのことは知っているのですが、改めて使い始めました。
Jammingなどの辞書ブラウザで複数の辞書を一気にひくことを、俗に「串刺し検索」と言いますが、ひとつの辞書ブラウザだけでなく、いくつもの辞書検索ツール(ときにはブラウザまで含めて)を一気にひくのも、「串刺し検索」と言います。
「かんざし」はそれを簡単に実現できるアプリケーションです。
インストールはダウンロードした knzs012.zip を解凍するだけ。
メインのインターフェースは、こんな入力ウィンドウだけ。見かけは実にシンプルです。
初めて起動したとき(またはオプションから選択すると)、こういうダイアログが開きます。
このダイアログの左上にある「★」を、検索したい辞書検索ツール(Jammingなど)の入力ウィンドウにドロップします。すると、その下のフィールドに辞書のウィンドウ名が取得されるので、[送信先に登録]をクリックして、その下にリストに追加します。これで辞書の登録は終わり。
後は、上にあげた本体の小さいインターフェースに検索語を入力すれば、すべての辞書検索ツールが検索されます。
要するに、各辞書検索ツールのウィンドウハンドルを取得して、そこに検索語を渡しているのですが、相手のアプリケーションによってはうまく機能しない場合があります。語句が渡されなかったり、渡されてもEnterキーに当たる操作が実行されなかったりする場合があります。私の手も環境では、
Jamming …… ○
Pasorama …… ○
LogoVista …… ○
Merriam Webster's Collegiate ……△(Search ボタンを押す必要がある)
COD …… ○
SOD …… ×
OED …… ×
でした。
メインのインターフェースがあまりにあっさりしているので、設定機能(たとえば辞書を後から追加する)はどこにあるのかわかりませんが、右クリックすれば出てきます。
■
さて、このアプリケーション、開発が始まったのは2000年より前のこと。そして2001年には開発が停止しています。
昨夜、翻訳フォーラムのメンバーと「かんざし」の話になって改めて気づいたのですが、このアプリケーションの開発が進んでいた2000年前後というのは、EPWing規格の辞書を何でもかんでもJammingに載せる、ということができなかった時代でした。
つまり、リーダーズでもランダムハウスでも、それぞれ別個のウィンドウがあって、いちいち検索語を入力(またはペースト)する必要があった。そんな不便を解消するために、この一気検索ツールが生まれたわけです。
でも、その後EPWing規格がかなり普及したり、Jammingもランダムハウスのデータを直接読み込めるようになったりしたので、「かんざし」の出番は少なくなりました。
ところが、ここ最近また状況が少し変わってきました。
まず、EPWing規格の旗色がちょっとよくありません。EPWing版が出ない辞書も増えているようです。
次に、LogoVistaデータはJammingで読み込めたのですが、最近のLogoVistaデータは後継のLogophileでないときれいに読み込めないようになっています。
電子辞書のPC用ブラウザ、PANORAMAのような独自規格も出てきました。
Oxford系辞書は、それぞれすべてスタンドアロンです。
こんな風に、どうしてもJammingだけでは済まない状況になりつつあり、そこで私も「かんざし」の素晴らしさを再発見したという次第です。
作者の内山さーん、見てますか~ :)
04:08 午後 パソコン・インターネット 翻訳・英語・ことば | URL
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コメント
最近のLogoVistaデータはLogophileでも外字が化けますよ…。
投稿: おじさん | 2012/11/14 16:59:06
おじさんさん、コメントありがとうございます。
あー、そうでした。
確認したら、ジーニアスがちゃんと表示されていません。
LogoVistaの辞書ブラウザって、あんまり使いやすくないんですよね。
投稿: baldhatter | 2012/11/14 17:21:30
Merriam Webster's Unabridged も△のようですね。
なんとも、なつかしい……。
また、お世話になろうと思います。
投稿: | 2012/11/14 19:19:37
『ジーニアス英和大辞典』をLogophileで使用する場合、LogophileDicManagerで「インデックスを解析」を選択する必要があります。そうしないと本文が途切れて表示されます。
詳細はLogophileユーザーズガイド(http://dicwizard.jp/logophile_ug.html)のLogophileDicManager→辞書ごとの個別設定→本文の区切り方を参照してください。
投稿: バックステージ | 2012/11/14 19:52:39
ありがとうございました!!
今さらながら SDL TRADOS 2007 から Studio 2011 へのアップグレードが完了しました。
すべて baldhatter さんのおかげです m(__)m
共存のことととか、アクティベーションのこととか調べていたら、すべて baldhatter さんのブログにたどり着きました (^^)
懸案事項から解放されて、安堵のひとときです。
投稿: けいまま | 2012/11/17 17:59:01
バックステージさん、私のLogophileに入ってるジーニアスは、ジーニアス大じゃなく学習用のやつです。大を導入するときには、このアドバイス覚えておきます。
投稿: baldhatter | 2012/11/17 19:31:26
けいままさん、お久しぶりー。
そうですかー。お役に立てて何よりです。私も2011の案件が少しずつ増えてきたので、Studio関連のエントリも増やしたいとは思っています。
投稿: baldhatter | 2012/11/17 19:32:20
どうもこんにちは。作者の内山です。
作った本人も忘れかけているツールを大きくご紹介いただき、ありがとうございます(笑)。
私のダウンロードサイト自体、10年くらいほったらかしの状態なので、こうして最新の情勢をご紹介いただけるのはとてもうれしいです。
EPWINGで出る辞書は確かに減ってる感じですねえ。
出版社がスマホやタブレット用のアプリでも別途収入を上げたいからなのかな、とか邪推しております。
EPWINGだと、検索アプリさえ入れれば、データはそのまま使い回せてしまいますからね。
投稿: 内山卓則 | 2012/11/18 19:52:20
内山さん、わざわざお越しありがとうございます。
> 出版社がスマホやタブレット用のアプリでも別途収入を上げたいからなのかな、とか邪推しております。
せこい~。でも、日本の出版社の発想を考えると十分ありえますねー。必死なのはわかるけど。
ということで、「かんざし」はまだまだ現役です!
投稿: baldhatter | 2012/11/18 20:03:30
初心者の質問をさせていただきます。
Logophileをインストールして、『ビジネス技術実用英語大辞典英和編&和英編』(海野文男・海野和子著)用に用いているのですが、
使用のたびにCD-ROMを抜き差しするのは正直手間ですし、マシンのCDドライブも酷使したくありません。
検索をすれば、CD-ROMの内容をハードディスクに保存するやり方は載っているのでしょうか。
って言っているそばから検索をすればよいのですが…
どうも「グーグル検索」というものが好きになれず…
(*≧m≦*)
投稿: 原田拓郎 | 2013/01/02 5:17:14
不勉強なコメントを申し訳ありません。
ただコピーするだけでした。
プロテクションがかかっているもの、という思い込みがありました。
グーグル検索に教えていただきました。
投稿: 原田拓郎 | 2013/01/02 5:36:35
マグローヒル科学技術用語大辞典もハードディスクに保存し、「こととい」で見られるようになりました。
小学生の作文のようですが、僕の最大の弱点は技術用語の常識と言える訳例、用例を知らないことでしたので、
(就活時、富士通のSEの内定はいただきましたが、就職しませんでしたので、結局技術分野の実務経験はゼロであります。Oracleというデータベースも、先生の授業で初めて知りました)
たいへん心強い思いです。
ありがとうございます。
投稿: 原田拓郎 | 2013/01/02 6:39:54
「かんざし」も導入させていただきました。
高橋先生、内山さま、ありがとうございます。
「かんざし」さえ起動して検索語句を入れれば、他の検索ソフトも起動してアクティブになる、まではさすがに無理なのだと理解しております。
それができれば、夢のソフトですが…
いずれにしましても、ありがとうございます。
投稿: 原田拓郎 | 2013/01/02 6:59:30
現在追い込みの仕事で「かんざし」を利用させていただいておりますが、たいへんに助かっております。
仕事が終わるか終わらないかぐらいの威力です。
ご制作、ご紹介ありがとうございます。
投稿: 原田拓郎 | 2013/01/13 10:58:36