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2012.06.09

# 翻訳業界というところ

片足で10年以上、両足で15年近く翻訳業界に身を置いている。

この業界が、私はとても好きだ。

でも、当たり前だけど同じ業界にはいろんな人がいるし、いろんな"会社"があったりもするんだよね。


昨日目撃した、あるやりとり。

翻訳歴ん十年のベテランで、ある団体の正会員でいらっしゃる方(個人的に面識はない)。

その団体に所属していない人が、その団体の講演などに出てくることが気に入らないらしく、ましてその団体の定期刊行誌が無料公開されるなど、会費を払っている会員としてとうてい納得できないらしい。

損得の感情(勘定?)とか、帰属意識とか、まあ個人によって考え方はいろいろだろうけどね。とりあえず、お近づきにはなりたくないな。

ついでだから書いちゃうけど。私もその同じ団体の会員で、安くはない年会費も払っている。

「会員になっていると、何かメリットある?」

ときどきそう聞かれるので、たいていは「まあ、それなりに」と答えていて、実際、有形無形にメリットはあると思っている。

でも、本当のところを言っちゃうと、直接的なメリットを求めているわけでは、必ずしもないんだよね。

「会員であること」

それ自体に意味がある。自分にとっても、たぶん対外的にも。そして、ちょっと格好つけて言うと、

その団体が自分に何をしてくれるか

じゃなく、

その団体に対して自分は何をできるか

を考えている気がするし、さらには

その団体を通じて自分は業界内で何をできるか

と考えているんだと思う。

「メンバーシップ」

って、本来そういうものじゃないだろうか。

12:14 午前 翻訳・英語・ことば |

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コメント

とは言え、どういう団体でも会費を純粋に「サービスの対価」と考える(としか考えない)層は結構な割合になるんですよね……。
団体の財政的にはこういう層がいなくなると相当に困るワケで、それをいなしながらうまくやっていく、というのが団体運営のキモなのかも、と思ったりします。

投稿: M. Ohkoshi | 2012/06/09 10:15:58

どのような団体や業種でも、以下2つの課題がついて回るのだと思います。

・既存顧客をいかに逃さないか
・新規顧客をいかに開拓するか

前者のためには会員のみの特典、後者のためにはサービスの開放が必要となります。要はそのさじ加減なのでしょう。

「会費払っている分だけ得した」と既存顧客に思わせることは大事だと思います。それと意見を言う人は納得してもらえれば忠実な会員であり続けてくれる可能性が高いので、何も言わずにやめていく人より貴重かもしれません。

投稿: バックステージ | 2012/06/09 13:11:59

Ohkoshiさん。あれだけの組織を運営した委員長の言葉だけに説得力がありますね。

会費 = サービスの対価

という考え方はもちろんわかりますし、そういう方々の会費で成り立っているといのはもちろんですよね。

私が気になっているのは、もっと根本的に「サービスを受ける」ということに対する考え方の違いなのかもしれません。「お客様は神様」という態度を客の側が当たり前のように示すのが、実は昔から大嫌いです。支払いと等価のサービスを受けて当然、という考え方を自分はできない。

まして、業界団体における「サービス」となれば、受ける側の意識はその運営を大きく左右するものだろうと思っています。

投稿: baldhatter | 2012/06/09 19:24:53

> 前者のためには会員のみの特典、後者のためにはサービスの開放が必要

バックステージさんらしい、きれいな整理のしかた。ありがとうございます。

> 何も言わずにやめていく人より貴重

そのとおりですね。自分が逆方向に偏狭にならないよう自戒します。ありがとうございました。


今回のお二人のご意見もそうですが、私がブログという形式を気に入っているのは、こういうインプットをいただけるからです。ご愛読の皆さまにも、改めてお礼を申し上げます。

投稿: baldhatter | 2012/06/09 19:27:35

ビジネスにおいて金を払う側の方が偉いとよく言われますが、私は金を貰う側と払う側は対等だと考えています。払う側に金払ってでも欲しい何かがなければ、関係が成立しないからです。

そして金を払う理由として、対価としてモノやサービスを受け取る以上に、貰う側を応援したいという気持ちが入ることもあるでしょう。

とはいえ何を「支払いと等価のサービス」と考えるかはひとそれぞれなわけで、納得できない人が出るのは当然です。そうした人を説得するか無視するかは、金を貰う側の判断となります。

ドラマ『王様のレストラン』で、こんなセリフがありました。

「私は先輩のギャルソンに、お客様は王様であると教えられました。しかし、先輩は言いました。王様の中には首をはねられた奴も大勢いると」

投稿: バックステージ | 2012/06/09 23:03:09

> 王様の中には首をはねられた奴も大勢いると

日本では王様ではなく、神様ですからねー、もっと大変w

> 金を貰う側と払う側は対等

こう考える人はけっして少なくないと思うんですね。でも、ごくわずかそうでない人がいると、いろいろなバランスを崩しかねない。かと言ってそういうごく一部の人を排除していいわけでもない。難しいですね。

投稿: baldhatter | 2012/06/19 20:43:02

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