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2012.05.27

# またも機械翻訳騒動。だけどそれだけのことではないかもしれず

東北観光博のサイトで、機械翻訳のトンデモない誤訳・珍訳が続出した騒動はまだ記憶に新しいところですが、今度は奈良市観光協会のサイトだそうです。

リンク: 奈良観光、誤訳だらけ…外国語HP一時閉鎖 : ニュース : 関西発 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

ニュース記事はしばらく経つと消えてしまうので、以下に引用しておきます。

自動翻訳システム、確認怠り 東大寺の大仏はミスター・オサラギ?――。奈良市観光協会が今春更新した外国語版のホームページ(HP)に、多くの誤訳があるとの指摘を受け、協会がHPを一時閉鎖していたことがわかった。経費を抑えようと自動翻訳システムを使ったためで、「国際観光都市として恥ずかしい限り」と担当者は平謝り。HPの再開のめどは立っていない。
 寺社や伝統工芸などを紹介するHPは3月に模様替え。従来の英語、韓国語、中国語、フランス語のページに、スペイン語、ポルトガル語、ドイツ語、イタリア語のページを追加した。
 この際、1言語で150万円だった翻訳の外部委託をやめて、全部で35万円のインターネットを利用した自動翻訳システムに変え、固有名詞の読み方もあらかじめ登録していなかったことからミスが続出。確認作業も怠っていたという。
 例えば英語では、東大寺の大仏を、姓の「おさらぎ」と認識して「Mr.Osaragi」と翻訳。「仏の慈悲」は「仏」を略語と解釈して「French mercy(フランスの慈悲)」とした。「平城京へ都が遷された」との部分は、訳せなかった「遷」の字が英文に混じっていた。
 こうした誤訳は「数え切れないほど」あり、観光ガイドらから「とても外国人に見せられない」との苦情を数十件受けた協会は23日にHPを閉鎖。現在、更新前のHPを公開中だが、担当者は「自動翻訳で内容を更新するには、単語登録しなければならない言葉が多過ぎる」と頭を抱えている。 (2012年5月26日 読売新聞)

この記事では言及されていませんが、請け負ったのは、東北のときと同じ会社だそうです。


東北博の騒動のあと、機械翻訳を導入しているところはどこも自サイトを点検したのかと思ってました。実際そうしたお役所などもあったようですが、奈良市ではそういう意識がまったくはたらいていなかった模様です。

機械翻訳の功罪とか、そういう話をするつもりは今回ありません。


私が気になっているのは、今のこの国の社会システムの問題です。

原発事故の後、もう追いかけるのもイヤになるくらい技術的にも組織的にも杜撰さが次々と明らかになる東電と原発ムラ(その他もろもろ)。

経済原則に追い立てられて安全性を軽視し、ついには多くの人命を犠牲にする交通機関。

(そのほかにも例を挙げようとしたけど、キリがない......)

なんかこうね、

社会システム全体が弱体化している

という気がするわけですよ。


そういうとき必ず思い出すのが、『銀河英雄伝説』の後半、ヤンたちがちょっとした道路の渋滞にはまっちゃうだけの場面です。ちょうど今の日本と同じように、ヤンは「社会システム全体があちこちで機能不全を起こしている」と感じる。その後たいした時間をおかずに、自由惑星同盟は銀河帝国に完全に屈服することになる。

そういう危うさ。

個人レベルにしちゃうと、「みんなもっと、自分のやるべきことをきっちりやろうよ」という話になるのですが、そんな自覚とか責任感がいつの間にか溶け出してしまうような、変な社会になってきている。


ふだんの生活レベルは、私の世代でさえ子ども時代からは想像できないほど便利に快適になったこの国。その私がまだ生きているうちに、この国の存在基盤が根こそぎひっくり返ってしまう日がとつぜん訪れないとも限らない。


その前に立ち直ってくれるのかなぁ。

11:02 午前 翻訳・英語・ことば, 社会・ニュース | | コメント (2) | トラックバック (0)

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2012.05.22

# 『通訳翻訳ジャーナル』の連載記事

告知が少し遅れましたが、『通訳翻訳ジャーナル』の春号から、翻訳フォーラムのメンバーによる連載が始まっています。

題して、「翻訳者のための作戦会議室」。

内容は、同誌の記事によくある翻訳志望者向けではなく、むしろ現役のプロ向けです。翻訳業界が大きな曲がり角にさしかかっている今、あらためて「翻訳というものに向き合ってみよう」ということをテーマに、フォーラムのメンバーがオムニバス形式で記事を書いています。


春号の連載第1回が、Buckeyeさんこと井口耕二さん


そして、発売されたばかりの夏号、第2回が、Sakinoさんこと高橋さきのさんです。


先日書いた翻訳フォーラムのシンポジウムとも連動しています。夏号はもちろん、春号の在庫もあるようなので、ぜひご覧になってみてください。

ちなみに、夏号は同誌の20周年記念ということで、ほかにも内容は盛りだくさんです。


あ、言い忘れました。「翻訳者のための作戦会議室」の第3回は、私の記事予定です(予定)w

06:14 午後 翻訳・英語・ことば | | コメント (2) | トラックバック (0)

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2012.05.15

# 6月、7月のイベント予定

翻訳関連の主なイベントをまとめておきます。

6月2日~3日
IJET-23 in Hiroshima

日本翻訳者協会(JAT)の年次イベントです。翻訳祭と同じようにマルチセッション形式ですが、2日間という日程もあり、また初日の夜には豪華なパーティもあって、翻訳祭に劣らない、むしろ内容の豊富さという意味ではそれ以上の盛り上がりが予想されています。

プレゼンテーション一覧

「SNSで翻訳者はどう変わるか?」というパネルディスカッションに、私も登壇予定です。

申し込みはまだ間に合います。

6月15日
翻訳フォーラムシンポジウム/大オフ2012

先日こちらのブログでも紹介したとおりです。ただし、10日に公式告知したばかりですが、すでにほぼ定員に達しています。

こちらでも、「翻訳者の頭ん中 翻訳中の思考プロセス」と題したシンポジウムの1コマを担当します。

「翻訳メモリの功罪」

ということで、翻訳メモリーを日常的に使っている翻訳者の一人として、「道具に使われないように」するにはどうすればいいか、という方向性を提示したいと思っています。


7月21日
「オープンスクール」 -翻訳学校のサン・フレア アカデミー

毎年数回(春、夏、秋だったかな?)開催されている、単発セミナーです。

私は昨年の秋と今年も春にも講座を持たせていただきましたが、今回も

【B-3】「翻訳トライアル突破の心得!」

を担当します。

ちなみに、同じ日には清水憲二さん(SNS)、新田 順也さん(Wordマクロ)の講座も開かれます。各講座ともわりと締め切りが早そうですし、抽選があるそうです。


ここでは、私自身がしゃべるイベントのみご紹介しましたが、このほかにも5月後半~7月にはセミナー等のイベントが目白押しです。詳しくは、こちらのサイトをどうぞ。

リンク: 技術者から翻訳者へのシルクロード:翻訳関係のセミナー類日程(5月、6月)

会場でお会いすることがあれば、よろしくお願いいたします。m(__)m

03:39 午後 翻訳・英語・ことば | | コメント (0) | トラックバック (0)

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2012.05.10

# どうやら「インタビュー商法」というやつらしい

法人化して2年目になりますが、しばらく前から変な電話が舞い込むようになりました。

この数か月間に、違う名前のところから、今日でもう3度目です。1 度目はこっちも無警戒だったから最後まで話を聞いてしまってからオチ(後述)を知り、2度目は家内が出て私の不在を告げたらその後はもうかかってきませんでした。そしてまた今日も......。


「△△」という(まったく聞いたことのない)雑誌名を名乗ってきて、用件は何かというと、

「起業したばかりの代表者の方にインタビューしたい」

と切り出してきます。

会話を続けながらググってみると、たしかにそういう名前の媒体が、オンラインマガジンなどの形で実在はしてたりして(紙媒体を名乗る場合もある)、なるほどバックナンバーには何人かの方のインタビューも載っています。でも、最後まで聞いていくと、実はそのインタビューを載せるのは

有料

ということになります(名目も値段もいろいろの模様)。


3回とも違うところ(みたい)でしたが、手口は笑えるほど似ています。

・インタビュアーとして有名?タレントが出てくるらしい

・特定の地域でまとめて実施するらしい

・インタビュー日程が翌日とか翌々日


タレントを担ぎ出すと、それに動く方もいらっしゃるのかもしれませんが、あいにく私はたいていの名前をまったく知らないのです、残念ながらw

そもそも、そんな日程で言われたって都合がつくはずもないし。


--- というわけで調べてみたら、けっこう前から「インタビュー商法」として知られていたようですね。自費出版詐欺にも似たタイプというところでしょうか。

法人化のデメリットというのは今のところ特にないのですが、こういう煩わしさは増えるのかもしれません。

06:31 午後 日記・コラム・つぶやき | | コメント (2) | トラックバック (0)

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# 翻訳フォーラム大オフ 2012

今年も、翻訳フォーラムの大オフが開催されます。

例年は、通称「勉強会」と大オフが別々に開催されるのですが、今年は昼間からシンポジウム形式の勉強会を開き、夕方からそのまま打ち上げになだれ込むという形になりました。

日程:6/15(金)
シンポジウム:午後1:00より
打ち上げ:午後6:30より

公式の告知ページはこちら。
リンク: 翻訳フォーラム大オフ2012に関するお知らせ


参加ご希望の方、興味のある方は、まず告知ページをご覧ください。

今回は、翻訳フォーラムのメンバーでなくても、告知ページから申し込んでいただければ参加できます。

(ただし会場の関係で先着順です。ご了承ください)


シンポジウムのテーマは、「翻訳者の頭ん中 翻訳中の思考プロセス」


そして、今回のシンポジウムは、この春号から始まった『通訳翻訳ジャーナル』の連載「翻訳者のための作戦会議室」と連動しています。


平日ではありますが、ご都合のつく方はぜひご参加ください。

04:42 午後 翻訳・英語・ことば | | コメント (0) | トラックバック (0)

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2012.05.01

# ドラマ『ROME』を鑑賞中

WOWOWで放映されたのはもうずいぶん前になります。どうして今どき見はじめたかというと、ヤマザキマリのエッセイ漫画がおもしろくて、本人のブログを読んだていたら(家内が)、ヤマザキマリ自身もイタリア人のご主人も、このドラマの出来を絶賛したということを知ったからでした。

内容と出来については私が書くまでもありませんが、私としてはこのドラマ、「別の作品で印象的だった名脇役たちがたくさん出てくる」というオイシイ作品であることがわかり、その分でもとても楽しんでいます。

ちなみにこの作品、R-15指定です。エロもグロもけっこう遠慮ありません。ウチでも鑑賞する時間帯はかなり限られています。

まず主人公ルキウス・ヴォレヌスを演じる、Kevin McKidd。

この人、『キングダム・オブ・ヘブン』の、通称「蟹兄ちゃん」でした。『キングダム・オブ・ヘブン』の主人公バリアン(オーランド・ブルーム)とエルサレムまでの道中しばらく一緒になるだけで、劇中の名前もなくセリフも少ない役なのですが、主人公と一緒に蟹を食ってるシーンが特に印象的なので、(主に巨大掲示板のスレなとで)そう呼ばれています。


ルキウスの部下であり友人であるプッロのRay Stevenson。

『キング・アーサー』(2004年、クライヴ・オーウェン主演のやつ)で、いかつくて下品なのに子煩悩な部下の役を演じてました。『ROME』でも、キャラはちょっと似ています。


オクタヴィアヌスの少年時代を演じるのが、Max Pirkis。

なんとなんと、『マスター・アンド・コマンダー』で、若き士官候補---戦闘中に片腕を失い、軍医マチュリン(Paul Bettany)のガラパゴス諸島調査を助けます---として印象的だった、あの子です。『マスター・アンド・コマンダー』のときが14歳、『ROME』のときが16歳だったんですね。若い若い。


アントニー役がJames Purefoy。

見たことあるなぁ、ちょい役だったけどオイシイ役だったはずだなぁ...と思って調べたら納得。『A Knight's Tale』(『ロック・ユー!』などという、とんでもない邦訳が付いてます、故Heath Ledgerも出てる楽しい佳作)で、エドワード黒太子を演じてました。


キケロの人もどこかで見たなぁ、David Bamber。

ドラマ版『高慢と偏見』(Colin Firthが出たやつ)で、Mr.Collinsという、空気読めないけど妙に憎めないキャラを演じています。

言うまでもありませんが、上にあげたのは私的にツボだったキャラとそのこれまでに印象的だった登場作品です。人によって異論も補足もあることと思います。

07:04 午前 映画・テレビ | | コメント (2) | トラックバック (0)

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# 『テルマエ・ロマエ』映画版

★★★☆☆

封切り翌日の29日、映画版『テルマエ・ロマエ』を観てきました。

以下の数行、軽いネタばれが入っています。見たい方は範囲選択して反転でどうぞ。

前半は原作数話分のダイジェスト、後半は映画オリジナルストーリー。前半はツメコミ感があるし、後半は頑張ってるとは思うけどやっぱりなぁ的展開。割り切ればそれも楽しめるし、セットや小道具はもちろん楽しい。「お風呂文化を楽しむテーマパーク映画」と思えば悪くない出来でしょう。

そんなわけで、今さらですけど、原作コミックはこちら。

このシリーズだけでなく、ヤマザキマリの家族を描いたエッセイ風漫画もけっこう楽しい。

日本人が古代ローマ人を演じるわけですが、実は日本人以外もたくさんキャスティングされていて、その分のせりふは吹き替えになっています。これが実にうまくはたらいていて、阿部寛や市村正親が、もともと濃い顔という以上に日本人に見えないという効果を上げていました。むしろ、現代の日本人以外はぜんぶ吹き替えに聞こえるくらいでした。


映像で初めて見た上戸彩はそれほど邪魔にならなかったし、日本人の中でよくこれだけ「濃い顔」と「平たい顔」を揃えたねーという点でキャスティングはおおむね正解。ただし、竹内力だけは変に浮いてますね。

「濃い顔」の中では、ケイオニウス役の北村一輝が面白かったなぁ。『ゴジラ FINAL WARS』の悪役とかね、変な使い方するといい感じ。

それから、『のだめカンタービレ』の映画版って、実はテレビスポットなどでしか見てないのですが、今回ときどき出てきた「映画におけるギャグマンガ的描写」を見て、あぁそーいえば監督が同じだったのだな、と思い出しました。「のだめ」のファンの方には申し訳ないのですが、私、あの表現手法、ちょっと苦手です。


さて、実はこの映画版、最初はあまり観にいくつもりなかったのですが、テレビドラマ『ROME』と同じセットを借りて撮影した、という話を聞いて観にいく気になりました。

実はちょうど今、この『ROME』を見ているところなのです。WOWOWで放映したとき(5年くらい前)見そこねたのですが、最近になって家内が安いDVDボックスを見つけたので、第1部の終わりまで見たあたりでした。

このドラマの記憶があるうちに映画『テルマエ・ロマエ』を見ると、その分はさらに楽しめます。

このドラマの、あのシーンが、映画のあんなところに。

06:05 午前 アニメ・コミック・サブカル, 映画・テレビ | | コメント (2) | トラックバック (0)

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