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2012.03.06

# 無駄とNonsenseのはなし

Twitter で「無駄」ということについてのツイートを見かけたので、こんなことを書いてみたくなりました。

ふだんから無駄なことばっかり書いてる帽子屋が書くことなので、今回もまた無駄な話に決まっているわけで、そんなことを承知のうえで書いちゃうことが、無駄の無駄たるゆえんです。

以下、人のツイートの紹介を含みますが、直接の引用は避けました(該当する方、間接的な引用ではあっても、もし私の解釈などに問題があればご連絡ください)。

「ゲームに使ってる時間を有効に使ったほうがいいぞ」

「ゴルフとか釣りとかに時間を使うのだって同じはずなのに、ゲームだけ時間の無駄のように言われるのはなんでだろうな」

と、そんな流れのツイートがあったところに、私はこうツイートしました。

そもそも「無駄」の何がいけないんだ! と言ってみる。

それに対して、

「難しいですね、『人生に無駄なものなどない』なんていうのも安易という気もするし」

というレスが続きました。

でも、ちょっと違うんですね。「人生に無駄なものなどない」のではなく、「人生に無駄なものはたくさんあって、だからいい」のです。

ちなみに今ググッてみたら、「無駄」まで入力すれば検索候補の何番目かに

無駄の効用

というのも出てきます。昔っからこういう言い方はわりとあるわけで、もちろん私もその効用は否定しませんが、別に効用なんかなくたっていい。

「無駄なものなどない」のではなく、「無駄に効用や意味がある」のでもなく、「無駄は無駄としてそこにあっていい」という感じでしょうか。

いや、「あっていい」という価値判断が入っちゃうともうダメかな。このまま続けていったら間違いなく禅問答になっちゃいますね。

英語の sense と nonsense にもちょっと似ています。

「無駄の効用」と似た言い方で sense of nonsense というのもありますが、nonsense に sense を求めるのも、ある意味 nonsense でしょうね。

実は、先週末にサン・フレアさんで単発の翻訳講座を担当したとき、講義の枕に例の

Stay Hungry. Stay Foolish.

を使わせていただきました。世に出回っている訳のどれも、hungry の訳は「ハングリー」で、Foolish のほうにバリエーションがありますね。Foolish を辞書で引くと、だいたい出てくる定義はこうです。

lacking good sense or judgement; silly or unwise

詳しい話は端折りますが、Stay Foolish はつまり、この "good sense or judgement" に安住するな、ということではないでしょうか、という話をしました。

かのルイス・キャロルも、Nonsense を敬愛したひとりでしたが、今回私の頭にあったのは、むしろこちら。

晶文社版はとっくに絶版のようですが、今はちくま文庫で出てるんですね。知らなかった。

"Stay Hungry. Stay Foolish" は別にジョブズのオリジナルではなく、もともとは The Whole Earth Catalog 廃刊時のメッセージだったという話もだいぶ知られるようになりました。それが1974年のことです(参考リンク: Stay Hungry. Stay Foolish.: Buckeye the Translator)。

一方、レノンがこの本のオリジナル(In His Own Write)を書いたのは1964年。原題に nonsense という語はありませんが、内容を受けて片岡義男(おそらくは角川書店)が「ノンセンス」を掛けてつけた邦題が『絵本ジョン・レノンセンス』。あんまりいいセンスのタイトルじゃないと当時から思ってましたが、「ノンセンス」だからいいのかなw それはともかく、この翻訳の出たのが1975年です。

原著の出版から邦訳の刊行までに当たるおよそ10年間。この頃の sense/nonsense、foolish というのは、たぶんあの時代を考えないと語れないのかもしれません。この辺り、ちょっとした研究テーマになりそうです。

ここまで書いたところで、同じ頃の日本のあちこちで飛び交っていたと思われる「ナンセンス!」って台詞にまで連想が及んで、ちょっと目眩がしました。まあ、その話はやめときましょうね。

02:50 午前 日記・コラム・つぶやき |

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コメント

私の本棚には「ノンセンス大全」(高橋康也著)なんて本が
ありまして、「かのルイス・キャロル」の文字を見て思い出し
た次第です。
この本を買う時、なぜか家内がいっしょにいて、「ホントに、
その本(「そんな本」だったかも)、買うの?」と半ばあきれ
顔で尋ねられたのを覚えています。

投稿: Jack | 2012/03/06 14:21:26

あー、それだ!
キャロルのことを書きながら、ナンセンス関係の本で何か忘れてるものがある...と思ってました。はい、ウチの死蔵図書の中にも、この本隠れてるはずです。

投稿: baldhatter | 2012/03/06 14:27:28

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