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2011.11.30

# 第21回翻訳祭 - 無事に終了~いろいろな出会い

昨日 11/29、日本翻訳連盟が主催する第 21 回翻訳祭が無事に終了しました。

自分のセッションは朝イチであっという間に終わってしまいましたが、全体的には来場者数も 700 名を超え、大盛況のうちに終わりました。セッションについては、盛りだくさんのラインアップが効を奏したようで、お会いしたいろいろな方から「有意義だった」という声を聞きました。

今年は特に、翻訳プラザを会場ビルの下の階ではなく 3 階に設置したことが、全体の盛り上がりにつながったように思います。いろいろな事情で今年はプラザにいた時間が長かったのですが、どのブースも賑わっていました。

個人的には、仕事上のおつきあいのある方とはもちろん、それ以外でも各方面に交友関係が広がりました。

特にうれしかったのは、スタイルガイド検討委員会の委員として登壇した 1 コマ目のセッションが終わったあと、さるクライアント企業の担当者様からお声をかけていただき、デイリーのお仕事について過分なお言葉をいただいたこと。個人的にも気に入っている継続案件であり --- 昨日の分はもちろんお引き受けできなかったわけですが m(__)m ---、とても励みになりました。

ランチ時間には、遠方から来た翻訳者さんとも、短時間ながらお話しすることができました。

自分で参加できたセッションは多くなかったのですが、キヤノン技術情報サービス株式会社の齊藤貴昭さんのセッション

「品質に満足ですか~良い翻訳品質を腕組みせずに考える~」

は、昨年の牧野 一成さんの翻訳セミナーと同様、講演者の立場やテーマからすると私のような個人翻訳者の仕事に直結する内容ではさそうですが、翻訳の「品質」についての考え方など、共感する点、勉強になる点が多々ありました。

特に、締めに使われたこの絵は印象的だったので、斉藤さんご本人の承諾を得たうえで、こちらにご紹介します。

111130

お客さんと良好な関係を構築するうえで「信頼性」が重要というのはよく聞かれる言葉ですが、それをこういう絵で視覚化したところが、たいへんユニークでした。

交流会では、ある翻訳会社の方から「本ブログのファンです」とおっしゃっていただき、たいへん面はゆい限りでした。

そして、例年のことながら、交流会ではまた何人もの方の異動を知ることになりました。意外な動きもあれば、さもありなんという流れもあって、この交流会に出るとこの業界にも 1 年という月日が流れたのだなぁ、と実感します。

そして、まだ日本翻訳連盟のサイトにも載っていない最新情報を告知します。

来年の 1/20、大阪で「JTF 翻訳セミナー in Osaka」が開催されます。基調講演は、なんと

「Steve Jobs 翻訳の裏側」

です。翻訳者の井口耕二さんが、(雑誌などのインタビューを除き)公式の場ではじめて、ジョブズ自伝の翻訳に関する秘話をご披露なさるそうです。ついに、あの秘蔵写真も公開されました!!

リンク: コラージュ(追記): Buckeye the Translator

詳細は、まもなく JTF のサイトで公開されることと思います。乞うご期待!!

09:06 午後 翻訳・英語・ことば | | コメント (0) | トラックバック (0)

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2011.11.28

# SDLさん、(あいもかわらず)お粗末なキャンペーンサイト

みなさまお待たせしました。毎度おなじみ、「SDL キャンペーンサイトで遊ぼうwww」のお時間です。

今回届いたのは、

「SDL Trados Studio 2011年末キャンペーンがスタート」

というメール。と言っても、今や一年を通じてキャンペーンをやってない期間のほうが少ないわけですが、そのキャンペーンサイトのお粗末さもあいかわらずです。

もう何度書いたかわかりませんが、こんなサイトばっかり作ってて、真剣に製品を売るつもりとは、とても思えないんですよね。

キャンペーンサイトのトップページはこちら。

リンク: SDLの翻訳アドベンチャー

このページから[リソース]タブに進むと、こんな風にコンテンツが並んでいます。

Sdl_11281

たとえば、「所要時間は4分ほどです。」と書いてあって、その下に 4 つの項目が並んでるわけですから、これをぜんぶ見ても 4 分くらいなのか、と誰でも思いますよね。そこで、まず「SDL Trados Studio 2011紹介ビデオを見る」というリンクをクリックしてみます。

Sdl_11282
(実際には、入力フォームの後でこの画面に進みます)

ぜんぶで 4 分かと思ったら、最初のビデオだけでいきなり 5 分www

ちなみに、このビデオの音声は英語です。

次に、「SDL Trados Studio ROI計算ツールを使ってみる」をクリックしてみると ---

Sdl_11283

こんなリンク画像のあるページが表示され、さらにクリックすると ---

Sdl_11284

--- こうです。たぶん、このキャンペーンサイトにアクセスした人の半数以上は、この時点でもう見るのやめますよね。それでも気を取り直して「SDL Trados Studio 2011の製品概要」のリンクをクリックすると、ようやく日本語版の概要 PDF を見ることができます。

その下にある「翻訳メモリソフトウェアとは何ですか」のリンク先は既存のコンテンツですが、日本語です。

今度は、「チャレンジ2」と書かれている右カラム、2007 の既存ユーザー向けコンテンツを見てみます。

「SDL Trados 2007のユーザーがStudio 2011を体験するビデオを見る」のリンク先は、YouTube のムービーですが、これもやはり英語版で、しかも内容がほとんどありません。

こんなんで、なんらかのプロモーションになると、本気で思ってるんでしょうか?!

次の「SDL Trados Studio 2011 - 新機能紹介ビデオをご覧ください」のリンク先はフラッシュのビデオですが、これも当然のように英語版

次の「SDL Trados Studio 2011の新機能についてのホワイトペーパー」は、リンク先に拡張子がなく、案の定、いつまで経っても何も開かない(PDFプラグインがある場合)、または拡張子なしのファイルがダウンロードされるだけです。試しに、ダウンロードされた拡張子なしファイルに .pdf と付けてみたら、ちゃんと PDF として開きました。で、その内容は ---

Sdl_11285

呆れたことに、2009 のときの販促 PDF です。もちろん英語版

最後の「私が使用しているSDL Tradosより後のバージョンで追加された機能を教えてください」は、リンク先がまともな日本語ページです。

毎度おなじみ、などという軽口で書き始めてみましたが、今回は特にヒドかったようです。

SDL というのは、翻訳支援ツールにかぎらず、Information Technology を売り物にしている会社のはずですよね。

「情報」を商品として扱っているはずの会社が、自分たちに関する情報をこれほどいい加減に扱っているって、常識的に考えてありえません。

それとも、ユーザー向けのこんな Web コンテンツなんて実はどうでもいい、というくらいリアルの営業部隊が超優秀で、サイトの悪評なんて痛くもかゆくもないということなんでしょうか。

08:33 午後 TRADOS | | コメント (0) | トラックバック (0)

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2011.11.22

# おじいさんは山へ「しばかり」に行きました

日本人なら子供でも知っている『桃太郎』の冒頭。

はい、漢字で書いてみましょう。






正解は

柴刈り

ですね。まちがっても

芝刈り

じゃありません。

Lawnmower

こんなんなっちゃいますからねw

今まで考えたこともなかったのですが、末っ子と、買い物帰りの会話で気づきました。

娘 「白い柴犬ってかわいいよねー」(注:彼女は犬好きである)
私 「でも、柴犬って、茶色のイメージだなぁ、やっぱ。なにしろ『しば』だし」
娘 「え、しばって緑でしょ」
私 「え、しばは茶色いのも...あ、その『芝』じゃないよ。おじいさんが山へ...ほら」
娘 「え、おじいさん、『芝刈り』にいくんじゃないの?」
私 「え、だって昔の日本だよ。庭師じゃないんだから」
娘 「だから、ほら、芝刈りのアルバイトとかwww」

ちなみに、

しば【柴】
山野に生える小さい雑木。また、それを折って薪や垣にするもの。

ですね。

12:27 午前 翻訳・英語・ことば | | コメント (10) | トラックバック (0)

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2011.11.20

# 「東宝特撮映画DVDコレクション」No.56~65 の関連動画

ついでなので、追加ラインアップの予告編など、拾えるかぎりで拾ってみました。

(11/20 現在、『さよならジュピター』は実はもう手元にあるのですが、忙しかったのでまだ観てません)

No.56 『さよならジュピター』、予告編。


No.57 『東京湾炎上』……の動画はないみたいだなぁ、さすがに。


No.58 『HOUSE ハウス』、予告編。

映画「HOUSE (ハウス)」 Trailer 投稿者 spyagent0011


No.59 『竹取物語』、ごめん、こんなのしかないwww

コント「竹取物語2」 投稿者 dekamagi30


No.60 『呪いの館 血を吸う眼』、音楽だけのと、オープニング。


東宝映画「呪いの館 血を吸う眼」 S46 op title... 投稿者 spyagent0011


No.61 『怪談』……さすがに何もない。小林正樹もマイナーかなぁ。


No.62 『ミカドロイド』……これもないかぁ。


No.63 『幽霊屋敷の恐怖 血を吸う人形』、オープニング。

東宝映画「幽霊屋敷の恐怖 血を吸う人形」 S... 投稿者 spyagent0011


No.64 『血を吸う薔薇』、これもオープニング。

東宝映画「血を吸う薔薇」 1974年 op title... 投稿者 spyagent0011


No.65 『大冒険』、予告編


うーん、楽しみだなぁwww

05:37 午前 映画・テレビ | | コメント (0) | トラックバック (0)

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# 「東宝特撮映画DVDコレクション」No.55~『透明人間』

いよいよこの作品の登場です。

Issue_55_1

実は私も観るのは今回が初めてなのですが、東宝特撮映画 = 怪獣 ≒ ゴジラと思っている方にお奨めしたい、特撮としてではなく日本映画として美しい秀作です。

公開は、初代『ゴジラ』のわずか1か月後の昭和 29 年 12 月。この当時の東宝特撮がほとんどそうだったように、本作でも、太平洋戦争が遺した大きな負の遺産が、首都東京の平穏を脅かします。

しかもそれが、『ゴジラ』のように巨大な姿の不条理な存在として登場するのではなく、あくまでも等身大の、悲しい犠牲者として姿を現すのです。言ってみれば、ゴジラが戦争そのものを体現するような抗いがたい存在として戦後のスクリーンに登場したのに対して、透明人間のほうはその戦争の犠牲になった「ひと」に視点を移し、復興期の東京によみがえらせたというところでしょうか。そんな 2 作品を続けて世に送り出したというところに、当時の東宝特撮陣の確固たる信念と歴史観を感じました。


主人公は作中でほとんどピエロの扮装をしていて、そのメイクだけでも哀感は十分なのですが、そのピエロを演じた河津清三郎の演技が絶品です。

その主人公が心を通わせる少女が盲目というのもいいし、そこで使われる小道具(オルゴール)も、ありがちながら効果的。そのほか、キャスティングはみんなどちらか言うと地味なのですが、だからこそむしろ、スター俳優の存在感に頼らない、誠実で堅実な作品に仕上がっているのだと言えます。

そして実は、このラインアップに入ってはいますが、特撮そのものの出番はかなり控えめです。本作に続いて作られたいわゆる「変身人間」シリーズ(『美女と液体人間』、『電送人間』、『ガス人間第一号』)と比べてもずっと少ないんじゃないでしょうか。その分よけいにドラマ本編がしっかりしています。

さて、足かけ 3 年にわたって続いた「東宝特撮映画DVDコレクション」、本当はこの No.55 が最終巻です。

第 1 巻を初代『ゴジラ』とするのは異論がないとしても、最終巻にこの『透明人間』を持ってきたというシリーズ構成は、デアゴスティーニさん、見事だったと思います。

特撮といえばゴジラ、ゴジラといえば特撮というくらいに代表的な「特撮もの」である第一作から始めて、最後は、同じ年に公開された「特撮だけど特撮じゃない」『透明人間』でしめくくる。昭和 29 年という年に、東宝特撮陣は、同じ特撮という軸上にありながら、これほどまでに両極端の作品を生み出していたんだというその事実を、このシリーズ構成は気づかせてくれました。

……という見事な構成でこのシリーズは終わるはずだったんですが、なんとなんと、「皆様からのご要望にお応えして第65号まで延長」ということが 9 月の時点で発表されました。あと 10 冊、5 か月も続くんです......。

これから続く 10 作品は、ある意味すごいラインアップです。あまりにマニアックというか、支離滅裂というか、無節操。たとえば、これが本シリーズの続きではなく完結した10作品セットだったとしたら、「誰が買うんだ、こんなの」と言われそうでしょ。

No.56 さよならジュピター
No.57 東京湾炎上
No.58 HOUSE ハウス
No.59 竹取物語
No.60 呪いの館 血を吸う眼
No.61 怪談
No.62 ミカドロイド
No.63 幽霊屋敷の恐怖 血を吸う人形
No.64 血を吸う薔薇
No.65 大冒険

ってか、私も観てないのばっかりだよー。

05:02 午前 映画・テレビ | | コメント (0) | トラックバック (0)

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2011.11.18

# 『スティーブ・ジョブス II』の装丁について

もはや改めて紹介するまでもないこの 2 冊。

翻訳書としてはもちろん、書籍全体としても今年最大のヒット作となった本作。出版に至る経緯、予想されていたとは言えやはり突然だった本人の逝去、井口さん自身がブログに書いた翻訳苦労話など、周辺的な話題にも事欠かず、ほとんど社会現象と言える様相を呈しています。

内容と翻訳のすばらしさについては、今さら私がいろいろと書くまでもありません。

その話題作の下巻が、諸般の事情によりようやく手元に届いたので、私としては、下巻の装丁(製本?)について、1点だけ苦言を呈したいと思います。

それは、

最終ページの後に、せめて1ページの余白がほしかった

ということです。

原書ハードカバーでも 656 ページあるという本書(ワード数にすると 22 万超)、日本語翻訳で上下巻になってしまうことは避けられず、それでも 1 ページあたりの余白を少なくして文字数を増やすなど、装丁には通常と違う工夫があったと Buckeye さんからも聞ききました。

そうは言っても、出来上がってみればやはり、上巻 445 ページ、下巻 430 ページという大著になっています。

そういう事情はわかるのですが、

下巻最終ページが見開きの右にきて、その左がいきなり著者と訳者の紹介ページ

というのは、実はかなりがっかりです。

どうしてかというと、もちろんネタバレは避けますが、ラストのこのページは、ジョブズの死生観にもかかわる素晴らしい終わり方をしているのに、この装丁のせいでその効果が半減しているからです。

もう少し言っちゃうと、本編の最後にあるジョブズの一言が、余韻をいっさい残してくれないこの装丁のせいで台無しになっていると思うからです。

最後まで読んだ人には分かってもらえると思うんですが、どうでしょう。

ただ、こう書きながら、もしかしたらこの装丁は意図的? と考えなくもありません。

もしかすると、この終わり方が逆に、本書の刊行を見ることなく旅立ってしまったジョブズの、あの劇的な生き方、そして死に方に似合っていると思えなくもないからです。

07:55 午後 書籍・雑誌 | | コメント (0) | トラックバック (0)

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2011.11.10

# 『オリンピックの身代金』の時代

単行本が出たとき図書館で借りて読みましたが、このほど文庫になったので再読しました。

奥田英朗の「最高」傑作かどうかは異論もあるところでしょうが、傑作であることには間違いありません。特に、昭和 30 年代の東京を知っていると、本筋とは別に当時の風俗習慣の描写だけでも楽しめます。

そういう作品評価とは別に、今回再読していたら、高度成長期の日本人の、今見ると痛々しいくらいに前向きな姿に、あちこちで涙が出そうになりました。

61 年生まれの私の記憶のなかで鮮明なのは、こっちですが。

東京オリンピックの時代といえば、「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズも次回作は 1964 年が舞台になるんでしたね。

あのシリーズ、CG の技術にはまあ感心しますけど、最初っからどうにも違和感のほうが強くて、あの時代が見事に再現されているという風に素直には感じられませんでした。実は今回『オリンピックの身代金』を再読し始めてから、その違和感のことが頭にありました。

活字で読んでいると、自分が体験したあの時代は --- と言っても私が実際に知っているのは 64 年より少し後の記憶のはずですが ---、かなりしっかりした感触として生き生きとよみがえってくるのですね。トロリーバスの架線にときどき光るスパークとか、都電で行った銀座三越のライオン像とか......。

でも、最新の技術で当時を再現したはずの映像世界には、そういう「自分の体験が再現される」余地がほとんどありません。どちらかというと、押しつけがましいと感じるだけでした。

きっと、自分の実体験を再現もしくは追体験するための素材というのは自分の中にしかなくて、小説の場合には活字が触媒となってその素材が脳内で再構築されるのでしょうね。でも、この手の映像だとそういう再構築を待つことなく、先に膨大な量の情報が押しつけられてくる。だから、自分の知っている世界を映像で表現されても、それはやはり何枚かのレンズを通した幻灯みたいにしか見えないのでしょう。

映像についてそんなことを考えていたら、こんな記事が目につきました。

リンク: 「4K2K」でテレビは新時代に、でも誰が見るのか? 最先端技術がメーカーの独りよがりに終わる懸念

アホだなぁと思う要素はいろいろありますが、そもそもどうしてテレビ屋さんも技術屋さんも、

「みんな 3D 見たいに決まってる」

と当たり前のように思ってるんでしょうか。

04:01 午前 映画・テレビ, 書籍・雑誌 | | コメント (2) | トラックバック (0)

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