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2011.11.20

# 「東宝特撮映画DVDコレクション」No.55~『透明人間』

いよいよこの作品の登場です。

Issue_55_1

実は私も観るのは今回が初めてなのですが、東宝特撮映画 = 怪獣 ≒ ゴジラと思っている方にお奨めしたい、特撮としてではなく日本映画として美しい秀作です。

公開は、初代『ゴジラ』のわずか1か月後の昭和 29 年 12 月。この当時の東宝特撮がほとんどそうだったように、本作でも、太平洋戦争が遺した大きな負の遺産が、首都東京の平穏を脅かします。

しかもそれが、『ゴジラ』のように巨大な姿の不条理な存在として登場するのではなく、あくまでも等身大の、悲しい犠牲者として姿を現すのです。言ってみれば、ゴジラが戦争そのものを体現するような抗いがたい存在として戦後のスクリーンに登場したのに対して、透明人間のほうはその戦争の犠牲になった「ひと」に視点を移し、復興期の東京によみがえらせたというところでしょうか。そんな 2 作品を続けて世に送り出したというところに、当時の東宝特撮陣の確固たる信念と歴史観を感じました。


主人公は作中でほとんどピエロの扮装をしていて、そのメイクだけでも哀感は十分なのですが、そのピエロを演じた河津清三郎の演技が絶品です。

その主人公が心を通わせる少女が盲目というのもいいし、そこで使われる小道具(オルゴール)も、ありがちながら効果的。そのほか、キャスティングはみんなどちらか言うと地味なのですが、だからこそむしろ、スター俳優の存在感に頼らない、誠実で堅実な作品に仕上がっているのだと言えます。

そして実は、このラインアップに入ってはいますが、特撮そのものの出番はかなり控えめです。本作に続いて作られたいわゆる「変身人間」シリーズ(『美女と液体人間』、『電送人間』、『ガス人間第一号』)と比べてもずっと少ないんじゃないでしょうか。その分よけいにドラマ本編がしっかりしています。

さて、足かけ 3 年にわたって続いた「東宝特撮映画DVDコレクション」、本当はこの No.55 が最終巻です。

第 1 巻を初代『ゴジラ』とするのは異論がないとしても、最終巻にこの『透明人間』を持ってきたというシリーズ構成は、デアゴスティーニさん、見事だったと思います。

特撮といえばゴジラ、ゴジラといえば特撮というくらいに代表的な「特撮もの」である第一作から始めて、最後は、同じ年に公開された「特撮だけど特撮じゃない」『透明人間』でしめくくる。昭和 29 年という年に、東宝特撮陣は、同じ特撮という軸上にありながら、これほどまでに両極端の作品を生み出していたんだというその事実を、このシリーズ構成は気づかせてくれました。

……という見事な構成でこのシリーズは終わるはずだったんですが、なんとなんと、「皆様からのご要望にお応えして第65号まで延長」ということが 9 月の時点で発表されました。あと 10 冊、5 か月も続くんです......。

これから続く 10 作品は、ある意味すごいラインアップです。あまりにマニアックというか、支離滅裂というか、無節操。たとえば、これが本シリーズの続きではなく完結した10作品セットだったとしたら、「誰が買うんだ、こんなの」と言われそうでしょ。

No.56 さよならジュピター
No.57 東京湾炎上
No.58 HOUSE ハウス
No.59 竹取物語
No.60 呪いの館 血を吸う眼
No.61 怪談
No.62 ミカドロイド
No.63 幽霊屋敷の恐怖 血を吸う人形
No.64 血を吸う薔薇
No.65 大冒険

ってか、私も観てないのばっかりだよー。

05:02 午前 映画・テレビ |

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