# タイトルには「の」を入れろ
ご存じの方もいらっしゃると思いますが、『もののけ姫』のタイトルを決めるとき、宮崎駿と鈴木敏夫の間で交わされたやりとり、とされているエピソード。
宮崎駿は、主人公の名前から『アシタカせっ記』というタイトルを考えていましたが、鈴木プロデューサーが「ミヤさん、それじゃ『の』が入らないよ。今までのヒット作はみんな『の』が入ってたんだから」ということで最終的なタイトルが決まったとか。ちなみに、「アシタカせっ記」のほうは BGM の曲名として残りました。
さて、この話を聞いたことがあった長女が今日ぼそっと、「今年のポケモン映画は『の』が入ってないからダメじゃん」と言ったので、人気シリーズのタイトルをざっと調べてみました。ここで言うタイトルには、サブタイトルまで含めることにします。
まずはそのポケモン映画。1998 年から始まって今年が 14 作目(ただし今年は 2 種類あるので総数は 15 本)という長寿シリーズ。列挙はしませんが、「の」が入っていないのは 4 作品(今年の 2 本とそのほかに 2 本)だけでした。
お次は、『名探偵コナン』の劇場版シリーズ。ポケモンより 1 年早い 1997 年から始まり、今年が 15 作目。15 本すべてに「の」が入っています。
映画版アニメで長いといえば、『クレヨンしんちゃん』。こちらは 1993 年から続いて今年が 19 作。こちらは、ほぼ半数の 10 本に「の」が入っていました。
『ワンピース』劇場版も、もうけっこう長いんですね...。1999 年から続いています。こちらも「の」が入っているのは 7 作だけ。興収はよく知りませんが、ジンクスなんか関係ない勢いがあるのかな。
日本で長寿シリーズということで、どうしてもアニメばっかりになりましたが、別のジャンルも見てみましょう。
『The Lord of the Rings』は、原作邦題どおりの副題で、3 部作すべてに「の」が入っています。
「ハリー・ポッター」シリーズも、原作邦題どおりで、7 作すべてに「の」が入っていますね。
アニメで長寿といえば「どらえもん」ですが、これはもう毎回まったく問題なく「の」が入ります。なにしろ、副題に必ず「のび太」が付きますからwww
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もちろん、日本語なら短いフレーズの中に助詞の「の」が入ってくる確率はそれなりに高いに決まっているわけですが、映画だけじゃなく最近のノンフィクション翻訳でもヒット作と言えば ---
『フェイスブック 若き天才の野望』
『スティーブ・ジョブス 脅威のプレゼン』
『スティーブ・ジョブス 脅威のイノベーション』
ほらほら。
10:09 午後 日記・コラム・つぶやき | URL
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コメント
スタジオジブリの映画でも「の」が入っていないのが結構ありますね。ヒットさせる気がないのでしょうか。
投稿: バックステージ | 2011/08/15 23:45:46
えっと、詳しく書かなかったんですが、宮崎駿監督作品はぜんぶ「の」が入ってるんですよ。で、高畑監督作品は「ほ」が付いている。その他はほとんど入ってません。
興行成績、調べてみました。
『千と千尋の神隠し』
『ハウルの動く城』
『もののけ姫』
『崖の上のポニョ』
『借りぐらしのアリエッティ』
昨年の『借りぐらし~』だけは宮崎駿じゃありませんが、「の」が入ってちゃんとヒットしてますね。
投稿: baldhatter | 2011/08/16 0:09:39
> 日本語なら短いフレーズの中に助詞の「の」が入ってくる確率はそれなりに高い
翻訳本のタイトルに「○○の××」は多いです。
例えば英語の前置詞は、inでもatでもofでも、多くは「~の」と訳せば足りるから。
シリーズものを書棚に並べると、背表紙がずらっと「の」ばっかだったりする。
和物でも同じ傾向はあって、某大河ファンタジー150巻とか。。。
(↑持っていません。本屋で見るだけ)
投稿: 白い都 | 2011/08/16 11:53:15
マークピーターセンが書いた「日本人<の>英語」で<の>について書かれていましたが、その意味の深さに驚きました。
ガンダムでも「逆襲のシャア」。
ブレードランナー、
ワールドトゥモロー
スキャナーダークリー(原作邦題「暗闇のスキャナー」)
月に囚われた男
好きなSFにはどれにも「の」が入ってません。
売れないわけです。
「進撃の巨人」は売れてます。
石ノ森章太郎……
投稿: 竹ノ花です。 | 2011/08/16 17:06:39
> シリーズものを書棚に並べると、背表紙がずらっと「の」ばっかだったりする
まあ、そりゃそうでしょうねー。今さらながら当たり前な話でした。
投稿: baldhatter | 2011/08/24 4:18:37
> 月に囚われた男
先日、ようやく DVD で観ました。いいですねー。最初に設定だけ見ると『サイレントランニング』にも似てると思ったのですが、ぜんぜん違いました。欧米マインドにとって identity というのはほんとに根深い問題ですが、それだけにこういう秀作が次々と生まれてきますね。
投稿: baldhatter | 2011/08/24 4:21:07