# 英語なら音声入力もかなり簡単
去る 6 月 2 日、日本翻訳連盟(JTF)の通常総会に続いて開催された基調講演で、音声入力の現状を見てきました。講師は日英翻訳者のリチャード・ウォーカーさん。
「日英翻訳:音声認識が翻訳の生産性を変える」
昨年 9 月の JAT Project Tokyo でも同じ講演があったのですが、そのときは別の話を聞いていたので、今回はちょうどいい機会でした。
しばらく前からわかっていたことではありますが、やはり英語だと音声認識もかなり進んでいるんですよね。講師がほぼナチュラルスピードで話す英語が、目の前のスクリーンでどんどん文字として出力されていく様子は、なかなかインパクトがありました。テキスト入力だけでなく PC の制御もいろいろと可能なので、音声でコンピュータを操作するという、なかなか未来的な図でした。
デモに使われた音声認識ソフトは、Dragon Naturally Speaking という製品(Nuance 社)。
これって日本語だとどのくらいの精度なのかしら、と思って Twitter でつぶやいたら、さっそく Sakino さんからレスが来て、現在の開発・販売状況を教えてくださいました。講演を聴きながら開発元のサイトを確認したら ---
リンク: Dragon NaturallySpeaking (ドラゴンスピーチ)FAQ | 音声認識, 音声入力 | ニュアンス (Nuance)
たしかに、「ドラゴンスピーチ2005」というバージョンで開発が止まっていて、対応 OS もなんと Windows XP SP2 までという困った状況。しかも、英語版を日本語 OS 環境にインストールしようとしてもトラブるとか(Sakino さん情報)。
きっと、日本語対応まで考えると、それだけでいきなり難易度が上がっちゃうんでしょうねー。この恩恵にあずかれるのは、まだしばらく先なのかなぁ。
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さて、この製品、実は iPhone/iPad 版も公開されていて(しかも無料)、ちゃんと日本語対応と謳われています。私の iPhone/iPad にもインストールだけはしてありました。
リンク: iTunes App Store で見つかる iPhone、iPod touch、iPad 対応 Dragon Dictation
で、さっそく日本語の音声入力を試してみたたころ、出力の精度は予想していたよりはるかに優秀でした。「選択したスキームが……」と読み上げたら「洗濯したスキームが~」になったりと、やはり同音異義語には困っているみたいですが、ちょっと意識して丁寧に喋りさえすれば、実用レベルになると言えそうです。
このサンプルくらいの入力ならほぼ問題なく出力されます。
ただし、iPhone/iPad 版の場合は Dragon アプリケーション自身の画面にテキストが出力されるだけで、他のアプリケーションにテキストを渡してくれるわけではない。コピーして貼り付けるなり、メールとして送信するしかないので、実際に活用できる場面はまだ限られるようです。
それでも、現状のエンジンでも日本語がこれくらいの精度で認識されるというのは、なかなか嬉しく楽しい発見でした。しばらく注目していたいと思います。
【追記】
同じ講演会にいらっしゃっていたテリーさんもレポートなさってました。
リンク: 音声認識を翻訳ツールにする...JTF基調講演に出席して|翻訳横丁の裏路地
テリーさんには後から Twitter で声をかけられましたが、当日はいらっしゃることに気づかず、ご挨拶できませんでした。m(__)m
02:57 午後 翻訳・英語・ことばiPhone/iPad | URL
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