# 尾瀬と東京電力
もう 10 年以上行っていない尾瀬。今年こそ絶対に行きたいと考えていますが、そのためにはまず、弱り切った足腰をどうにかしないといけません。
リンク: 尾瀬:東電保有地の売却、群馬県が懸念 知事「絶対阻止」 - 毎日jp(毎日新聞)
その尾瀬、実は東京電力と切っても切れない縁があります。っつうか、この記事にも書いてあるとおり、尾瀬一帯の半分くらいは東電の持ちものだったりします。
その東電が、尾瀬の自然保護にはけっこう頑張っていて、だからこれを東電が手放して、ろくでもない企業が買い取ったり、あるいは国立公園として国だけの管理になっちゃうと、尾瀬はメチャクチャになってしまうかもしれない、ということのようです。
これは、尾瀬に入る群馬県側の入り口のひとつ、鳩待峠にある看板ですが、ここにも書いてある尾瀬林業(株)という会社と、尾瀬保護財団という財団法人が尾瀬の保全に努めています。その尾瀬林業というのが、東電の子会社です。それから、尾瀬保護財団のほうも役員名簿を見ると副理事長に清水正孝社長の名前があったりします(この3月までの名簿なので今は退いたかも)。
また、尾瀬にある山小屋のうち 5 つは、この尾瀬林業が経営しています。
■
大正時代、只見川の水源に当たる尾瀬にダムを建設しようという計画が持ち上がったことがあります。その当時、尾瀬沼の水利権を持っていたのが、東京電力の前身(のひとつ)である関東水電という会社でした。この計画が遂行されいたら、あの美しい尾瀬ヶ原はこの世から消えていたはず。
そのダム計画に断固反対の声を上げたのが、有名な平野長蔵氏と長英氏の親子です。
今もその平野家が管理しているのが、尾瀬沼畔にある長蔵小屋。同じく 98 年に私が泊まったときの写真です。
そして、そのダム計画案がほぼ断念された 1951年(昭和26年)に、関東水電と、東電のもうひとつの前身だった東京電灯が合併して、今の東京電力が誕生。尾瀬林業も同じ年にグループ企業として設立されています。
参考リンク:
……と、こういう経緯を見ていると、まるでヒツジの皮をかぶったオオカミみたいな気もしますし、もしかしたら保護活動の裏には何か政治的な打算があるのかもしれませんが、少なくとも尾瀬の自然保護に関しては、東京電力さんはお金も労力も使って、一定以上その役目を果たしていると思います(そんなのトンデモない、という異論があればお待ちしています)。
■
国立公園 --- かつては(日光国立公園の一部でしたが 2007 年には独立して尾瀬国立公園になりました --- の一部を私企業が保有管理している、というのも奇妙な話ですし、その企業が手放したら荒れてしまうかも、というのはさらに不思議な話にも聞こえますが、実は国有化された山林というのは、ろくに管理されずに荒れてしまうケースも多いと聞いています。
いっそのこと、ナショナルトラストみたいな民間団体を作って、そこが東電から買い取るというのはどうでしょう。こんな状況ですから、東電さんの足元を見て安く買いたたけませんかね。
団体設立のときも愛好家などから寄付を募ったらけっこう集まりそうな気がしますし、その後も、登山者などから一定の入山料金を徴収するとかしてもいいと思います。そうなれば私もよろこんで協力します。
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
ごぶさたしてました。
東電が潰れるといろいろ弊害出ますね。
投稿: 竹花です。 | 2011/05/22 1:20:15
> 東電が潰れるといろいろ弊害出ますね
そう、いろいろ変えていく必要はありますが、別に東電を潰す必要はないと思います。むしろ民主党政権とか経産省とか、そっちのほうが問題かと。
投稿: baldhatter | 2011/05/25 0:03:02