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2011.04.02

# タイムリーどころじゃなかった『世界大戦争』

昨日紹介した、『世界大戦争』

仕事が一段落したところで、布団にもぐりこんで iPad の AirVideo で鑑賞しました。まちがいなく日本映画史上の傑作です。フランキー堺、最高。

という映画としての評価は別に、今のような状況でこの映画を初めて観られたというタイミングに、改めて驚愕します。

時代設定は公開当時どおりの 1961 年。東西二大国(名前は架空だがもちろん当時の米ソ)の緊張が高まり、日本政府の和平工作もむなしく、ついには全面核戦争に発展してしまうというストーリー。

今の日本の状況とはもちろんまったく違いますが、50 年前に描かれた日本と、今のこの国の姿は実に多くの点で重なっていました。

数か月間の航海から帰ってきた高野(宝田明)は、東西情勢に関する情報を日本国内でなかなか得られないことに苛立ち、アマチュア無線で海外のソースに情報を求めようとします。インターネット上で海外のニュースにすがっている私たちとまったく同じ。

政治家たちは、映画の常で現実よりずっと理想化されて描かれているのですが、そんな彼らでさえ、こう言います。

新聞記者「しかし、噂によりますと……」
官房長官「どんな噂か知りませんがね、政府として望みたいことは、この際、政府の発表だけ信じ、民心の動揺を生む流言飛語はいっさいおさえてもらいたいことです」

それでも、日本に核ミサイルが飛んでくることは不可避という状況になり、政府からもそう発表されると、もちろんパニック状態で避難が始まり、あちこちで混乱が起きます。

しかし、もう一人の主人公である田村茂吉(フランキー堺)は、家族とともに東京にとどまって最後の瞬間を迎えることを選びます。

必死に逃げ回る人々も、田村茂吉のような一家(音羽信子、星由里子ら)も、良い悪いではなく、どちらもまちがいなく日本人の姿なんだと思います。

09:28 午後 映画・テレビ, 社会・ニュース |

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コメント

この映画、公開当時に見ました。その晩、うなされて母を心配
させたのを覚えています(見てうなされた映画は他に『シン
ドバッド七回目の航海』というのがありました)。

その後見直したことがないので、記憶が定かでない部分もあり
ますが、印象に残っているのは母親が保育園(に類似の施設?)
にあずけてある子供を迎えに行こうとして途中で道に倒れ込んで
しまうシーン、主人公の一家が最後に「晴れの日」のような
食事をする場面、主人公の娘が無線で婚約者と別れの言葉を
かわすシーン、核爆発の高熱でどろどろに溶けたマグマのような
流れの中に漂う国会議事堂など、たくさんあります。

この映画をその後一度も見ていないのは、50年前に初めて見た
時の恐怖があって避ける気持ちがあったからだと思います。

投稿: Jack | 2011/04/02 23:28:08

Jack さん、記憶かなり正確です。

≪以下ネタバレ含みます≫

高野(宝田明)が乗っている貨物船の炊事長・江原(笠智衆)の娘(白川由美)が保育園の先生です。そこで預かっている女の子の母親が、(かなり離れた勤務先から)急いで迎えにいこうとしますが、すでに町中は混乱していて交通も止まっており、途中で力尽きてしまいます。

逃げることを拒んだ田村の一家は、"ごちそう"を作って最後のときを迎えます。食卓にあるのは、巻き寿司、いなりずし、そしておそらく卵焼き。メロンも出てきます。田村は株にも手を出していて生活に余裕はあるのです。そういう家庭の最後の晩餐。

冴子(星由里子)は、恋人である高野が船上にいるときでも連絡できるようにと、アマチュア無線の勉強をしています。二人は、モールス信号で最後の言葉を交わします。

冒頭で国会議事堂が写りますが、最後の場面が、どろどろに溶けてしまった議事堂です。

投稿: baldhatter | 2011/04/02 23:55:13

私は映画を見ないので『世界大戦争』は初耳ですが、ねたばれも読んでしまいましたし…たぶん、恐ろしくて見られません。

今回の事故で最初に頭に浮かんだのが『On the Beach』で、次が『霊長類南へ』でした。あと『神と野獣の日』(ストーリーはよく覚えてないんですが、もしかして、世界大戦争に似てますか?)とか『レベルセブン』(宮部みゆきではない)とか…いずれも中学~高校のときに読んだんですが…病んでましたね、私。

とりとめもなく、思い出したくもない思い出話でした。帽子屋さんよりちょっと年下の私です。

投稿: Susie | 2011/04/04 18:25:51

Susieさん、コメント返信遅くなりました。病んでる^^とは思いませんけど、少数派の高校時代が想像されます。

『渚にて』は、映画版も秀作でした。終末の世界は SF の中だけでたくさんですね。

投稿: baldhatter | 2011/04/14 13:49:10

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