# 『神様の伴走者』 手塚番13+2
ノンフィクション系で、(今のところ)今年いちばんの収穫でした。
私らの世代って、手塚ファン層の中ではたぶん遅参組、若輩者ということになるんですよね。中心は、やはり夏目房之介あたり。
なにしろ、手塚の活動期間が43年間(1946~1989年)で、私が手塚漫画に接したのは早くても1960年代中頃、自覚的に読み始めたのは1970年過ぎてからだから、後半20年分にも欠けています(長男・手塚眞と同い年)。
小学生の頃は、手塚より石森のほうがおもしろいと思ってた時期もあったしw
本書に書かれているのも、私が知らない時代の話が大半。感覚的にわかるのは、劇画調全盛だった頃の少年マガジンに「三つ目がとおる」の連載を始めた頃の話(第5回 神様の夢を叶えた男)とか、「マンガ少年」創刊のいきさつ(第13回 神様の伝説に挑んだ男)とか、ごくごく一部のみ。
もちろん、だからこそ本書はおもしろかったということになるわけです。
そうそう、「三つ目がとおる」連載開始の話(宮原照夫氏)には、講談社版・手塚治虫全集の刊行に至るエピソードも載ってて、この辺になると自分もよく覚えています。刊行の予告が出たときには、もう夢を見ているような気分でしたが、その興奮はむしろ遅参者ならではの特権だったわけです。だって、遅れてきたがゆえに、読んでいない(読む機会のなかった)作品が山のようにある。それを、これからは毎月 4 冊ずつも読める! って。
高校生だった当時、毎月の小遣いはほとんど全部、この全集に使い切りました。入学当初には部活にも入りましたが、夏前には、その日に出る新刊を一刻も早く読みたくて部活を辞めちゃいました。発売が予定日から1~2日遅れたときもあったらしいのですが、そんなことを知らずに市内ぜんぶの書店を走り回って手に入らなかった日の悔しさとか......
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