# 「うんのさんの辞書」のこと
昨日のエントリで新版の発売予定をお知らせした『ビジネス技術実用英語大辞典』。
実務翻訳に携わっている人なら必携、というか、私の周りの翻訳者さんはほとんどみなさんお持ちのようなので、今さら私などがその良さを宣伝する必要もないのですが、せっかくなので「私にとってどう良いか」という視点で書いておこうかと思います。
この辞書をまだお使いでない方、あるいは購入をご検討中の方は、私の駄文をお読みになる前にぜひ、こちらの「ビジネス技術実用英和/和英大辞典 序文」をお読みください。この辞書の編纂意図や特徴がよく判りますし、初版の謝辞を読むと、この辞書を使わせていただいていることの有り難さが倍増します。
用例や言い換えが豊富であることは、使い始めてすぐに気づきますし序文にも書かれています。それが、「実用」という名を冠するに相応しい、この辞書の最大の特徴でしょう。
豊富な用例や言い換えを挙げるというのは、語義を「訳語」として固定的に列挙していくという一般的な辞書のアプローチではなく、「こんな感じ」、「こんな使い方をする」という示し方によって
言葉を立体的に浮き出させ
ようとすることです。
そういう作りの辞書がどれほど貴重な存在であるか、翻訳者はみんな皮膚感覚のように判っていて、それが
- 単語の手ざわりをつかみやすい
- 訳語を思いつく手掛かりになる
という評価や賛辞につながっているのだと思います。
そんなわけで、私にとってはふつうの英和辞典ではなくむしろ英英辞典、特に Collins COBUILD などに近い存在です。
もちろん、こんなことは序文にもちゃんと書かれています。
多少くどく感じますが、探している言葉を思い付くための発想の助けになったり、言葉が持つ意味の幅の広さを示せるものと思います。
もちろん、訳語や用例がそのまま役に立つことも少なくありません。以下はその一例。
このエントリを書く前に、「私家版英語辞典」に initiative を追加しました。
代表的な大辞典の多くで記述が不完全なこの単語についても、「うんのさんの辞書」には第 3 版(2000年)ですでに「構想」という訳し方が用例として掲載されています。
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