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2010.06.09

# iPad - アプリ『元素図鑑』 - 翻訳がときどき変

完成度の高さと美しいグラフィックが話題になっている iPad アプリがあります。

リンク: iTunes App Store で扱っている iPhone、iPod touch、iPad の元素図鑑: The Elements in Japanese

Ipadelement

オリジナルは英語版(The Elements: A Visual Exploration)で、上のリンクはその日本語版なのですが、どうも翻訳がときどきダメみたいです。

ざっと見たところ、本編に致命的な誤訳があるわけではありませんが(不自然な言い回しは多い)、「はしがき」にいきなりこんな文が。

どのサンプルも高精度ターンテーブルに載せてあらゆる方向から楽々と写真に収めることができました。

英語版の原文はこうです。

Every sample was painstakingly photographed from all sides on a precision turntable.

なんか、painstakingly が正反対の意味になってるんですけど。

04:00 午後 パソコン・インターネット 翻訳・英語・ことばiPad |

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コメント

英語ものには「普遍」ってよく出てきます。しっくりこないですが。

投稿: 竹花です。 | 2010/06/09 16:47:33

この訳文はかなり変ですね。

思うに、経費節減重視で素人に作業させたんでしょうね。
翻訳したのは、日本人じゃないかもしれませんよ。
中国人か台湾の方かもしれません。
最近、中国と台湾の翻訳会社からひどい訳文をチェックしてくれという仕事がきましたが、あまりひどいので断りました。

また、打診される案件の大半は、安い案件ばかり・・・
先日も、英日翻訳で6円/wordで2ヵ月びっしりというIT関係の案件に応募者多数だとか。
5年前は、10円以上が相場でしたが

大丈夫かな?この業界

投稿: Superluminal | 2010/06/09 20:22:14

リンクをクリックしただけで、美しい画面と楽しい訳文を確認できるのはすばらしいですが、iTunesの購入画面(1600 yen)も立ち上がってくるんですね。こういうシステムを考えついた人々に脱帽です。

投稿: あきーら | 2010/06/10 2:00:33

> 「普遍」ってよく出てきます

USB の "Universal" とか。

> 英日翻訳で6円/word

最近よく聞くんですよ、その相場...

投稿: baldhatter | 2010/06/12 18:16:39

> こういうシステムを考えついた人々に脱帽

いやもう、半分マジで iPhone アプリの開発を勉強したくなります。

投稿: baldhatter | 2010/06/12 18:17:11

>英日翻訳で6円/wordで2ヵ月びっしりというIT関係の案件に応募者多数だとか。

 1語6円でも1日に3千語できれば1万8千円で、2ヶ月びっしりあれば1ざっと100万円の売り上げ。この不況時に良い仕事ではないでしょうか。

 ちなみに、私はほぼ45年前に翻訳をはじめましたが、その時の料金が2.4円/語,5年前に引退しましたが、そのときの料金が特許事務所直接で25円/語でした。45年前の料金上昇率が約10倍、これは物価上昇率とほぼ同じです。

>5年前は、10円以上が相場でしたが

 不況と、仕事を求める人が増加したための影響で値下がりしたようですが、5年間で50%以上の値下がりとはひどいですね。

 外国勢の参入が激しくなるとそのうちに40年前の水準にまで下がる事もありえますね。もっとも、そうなると仕事の質も当然下がるでしょうから、発注元も翻訳者の選別を厳しくするでしょうが。いずれにしてもグレシャムの法則はこの業界でもある程度通用するようで、悔しい限りです。

投稿: 井上信三 | 2010/06/18 9:35:06

井上信三さん、コメントありがとうございます。

> 1語6円でも1日に3千語できれば1万8千円で、2ヶ月びっしりあれば1ざっと100万円の売り上げ。この不況時に良い仕事ではないでしょうか。

この計算は、「3,000wds/日をコンスタントに維持し」、「2か月の間に4日間しか休まない」という条件が前提になりますね。たしかに、そういう働き方をして月収50万を稼げるのであれば、「この不況時に良い仕事」と言えるかもしれません。

でも、3,000wds/日という処理量は一般に言うと多めで、平均は 2,000wds/日かそれ以下というところのようです。しかも、ふつうの勤め人のように土・日を休もうと思えば、
6*2000*22=264,000円
となるわけで、この額をどう捉えるかは人次第かな。その辺の計算・換算と考え方は、Buckeye さんのブログのほうが詳しいので参考になります。

要は価値観の違いであって、「自分の職能をその単価で売る気になるかどうか」ということですよね。あるいは、翻訳という職業をどう捉えているか、という職業観の違いです。

投稿: baldhatter | 2010/06/18 14:10:35

twitterで知りました。
作者のグレイさんとは、このアプリのもとになった「世界一美しい周期表」からの付き合いで、『Mad Science』という本の翻訳もしたのですが、残念ながら「元素図鑑」には関われませんでした。私がやっていれば、とまでは言いませんが大変残念です。作者から、訳がおかしかったら言ってくれ、と言われて本文は見たのですが、はしがきを見なかったのが失敗でした。今からでも遅くないので伝えておきます。アプリなので本と違って訂正可能なのが救いです。baldhatterさんに感謝します。

投稿: nobuotakahashi | 2010/07/25 8:20:48

nobuotakahashi さん、コメントありがとうございます。

Twitter でも返信しましたが、こんな泡沫ブログでの発信が、翻訳の改訂につながるなんて素晴らしいことですね。Twitter の威力をあらためて思い知りました。

改訂版アプリが公開されたら、またこちらでも大々的に取り上げたいと思います。

投稿: baldhatter | 2010/07/25 11:38:41

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