# 発言は Undo できない
だいぶ前にも書きましたが(side A: # 撤回できるもの、できないもの)、いちど口にしたことを「取り消す」って、どう考えてもマヌケな行為です。
リンク: 「結婚は不自由…子供持てば一層」埼玉県教育委員長が発言 - MSN産経ニュース
埼玉県教育委員会の松居和(かず)委員長(55)は、2日の県議会一般質問で選択的夫婦別姓についての見解を問われ、「結婚は自ら進んで不自由になろうとすることと思える。子供を持つことは結婚に輪をかけて不自由になることだと思える」と発言した。松居委員長はその後、「陳謝して発言を取り消します」と撤回した。
コンピュータ上なら、たいていの操作を Undo できます。文字通り「なかったこと」にすることができるわけで、アプリケーションによっては、かなり前の操作まで遡ることも可能。
もともと、英語の Un-動詞は「ちゃんと元の状態に戻る」場合が多いようです。untie と言えば結んだ前の状態に戻るし、unlock、unfold も同じ。なかには、unlearn みたいなのもありますが。基本はアプリケーションの Undo と同様、「可逆的」な面を持っています。
でも、undo にそういう面があるからこそ "cannot be undone" という言い方もまたよく見かけるんじゃないか、と思うわけです。
以前のエントリで書いたとおり、「発言を取り消し」たところで、その発言自体はけっしてなくならず、元の「発言」に「取り消し」た事実が追加されるだけです。もし本気で取り消すつもりなら、きちんと
「今の発言は間違ってました」
とか、「すいません、認識を改めます」って言えばいいのに(それとも、本人はそう誤ったのに、新聞が定型的にこう書いてるのかなぁ)。
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コメント
佐藤信彦です。
この場合の「発言を取り消す」とは、「該当発言を議事録に記載しない/(議事録が作成済みなら)議事録から削除する」という意味なんじゃないかな。良い悪いは別にしてね。
投稿: 佐藤信彦 | 2010/03/03 14:57:03
> 議事録から削除する
ああ、なるほど。腑に落ちました。
ということは、あれかな。政治家のみなさんがわりと平気で不用意な発言をしちゃうのは、「発言しても取り消せば公式にはなかったことにできる」という習慣がしみついているせいなのかも。
投稿: baldhatter | 2010/03/03 20:10:08