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2009.08.24

# TRADOS - TagEditor と Word の違い、その1

Studio 2009 のレポートはちょっとお休み。世間の需要はまだまだ 2007 までが主流でしょうということで、実際の Trados 翻訳作業で、TagEditor を使うときと MS Word を使うときにどんな違いがあるか --- つまりは、その違いのせいで困ることが多いということですけど --- ということを書きとめておきます。

まず説明が必要かもしれませんが、TagEditor を使うか Word を使うかという選択は、翻訳者が決めるということは稀で、クライアントや翻訳会社から送られてくる作業ファイルがどんなファイル形式かで一方的に決められてしまうほうが多いようです。

つまり、FrameMaker ベースの場合は、Trados のツールで変換した rtf ファイルを Word 上で作業することになるし、HTML/XML ベースの場合は TagEditor を使うことになります(HTML/XML を直接開くこともあれば、バイリンガル形式の中間ファイルである ttx が支給されることもある)。

1. タグデータの違い

Trados 翻訳につきものと言えるのがタグ。Word 上では、タグは特殊なスタイルが設定されているだけの通常の文字列です。たとえば、

Wordtag

このように文中に出現する赤いタグ(内部タグ、などと呼ぶ)の場合は tw4winInternal というスタイル設定で、文字色は赤。Word をお使いなら想像できると思いますが、このタグの直後に訳を入力しようとすると、直前のスタイルを受け継いでしまうので、入力した文字列は訳文ではなくタグの一部としてメモリに登録されてしまい、よろしくありません。ここんところは、たぶん Trados を使い始めて最初の頃に注意するよう指示されると思います。

通常の文字列なので、削除もできてしまうという危険性があります。

これに対して、TagEditor のほうは Trados 専用ツールだけあって、タグが特殊処理されていて、書式を引きずってしまうことも、削除してしまうこともありません。

Tageditortag

そんなわけで、タグ付き文書を扱うには TagEditor のほうが便利なのですが、逆に TagEditor では文字列でないためにタグ自体を検索することができない、という欠点があります(イタリック指定のタグだけ検索したいとか、そういうことがあるのです)。


2. 検索機能の違い

TagEditor の検索/置換機能がいかに使いものにならないかということは、以前すでに書きました。
リンク: # TRADOS - TagEditor の検索/置換機能

今回はもっと笑える話。

たとえば、原文では "KB" という単位が使ってあり、訳文ではこれを「KB」ではなく「キロバイト」と表記しなければならない規則になっている。そこで、訳文に「KB」が使われていないことを検索したい、とします。

こんなとき、Word 上では原文が隠し文字、訳文は通常文字になっているので、検索ウィンドウで書式オプションを指定すれば、訳文の中に「KB」がないかどうか、すぐに確認できます。ところが TagEditor ではそんな区別ができないので、検索しようとするといちいち原文中の「KB」も引っかかってしまう。

さて、TagEditor のウィンドウ下部にはこんなタブがあって、実は「原文のみ表示」と「訳文のみ表示」を切り替えることができます。それなら、「訳文のみ表示」した状態で「KB」を検索すればいい、と普通は考えるわけですが、これを実行するとどうなるか。なんと、

表示は訳文だけになっていても、見えない状態で存在しているらしい原文の該当箇所にヒットする

のです。判りにくいですが、上の例で言えば、訳文の中に「KB」が使われていなくても検索で該当なしとならず、見えない原文にヒットすることになり、この場合の目的には使えないわけです。Trados をお持ちの方はお試しください。

その 1 はここまで。

10:37 午後 翻訳・英語・ことば TRADOS |

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コメント

こんばんは(^^)。(お加減いかがですか?)

私は SDL TRADOS 2007 Freelance を使用していますが、TagEditor で検索すると[訳文のみを検索する]というオプションがありますよ。
そのチェックボックスをオンにすると、訳文だけを検索対象とすることができます。baldhatter さんがお使いのものとはバージョンが違うのかな。

私の TagEditor に対する不満の 1 つは、セグメントを開いた状態だと TagEditor 上ではそのセグメントのマッチ率がわからないこと。
また、最初に開いたときには Workbench 上でマッチ率がわかるものの、そのセグメントを編集していったん閉じてしまうと、次に開いたときには (自分が登録したものが開くので) Workbench 上のマッチ率が 100% になってしまう。
元のマッチ率を知りたいときは、そのセグメントをわざわざ閉じなければいけないので、不便です。

他にもその時々で不便だなぁと感じることはありますが、すぐに忘れちゃうタチ (?) なもので(^^ゞ、baldhatter さんのご報告を読んで「あるある~」といつも言っています。

投稿: めぐり | 2009/08/25 1:12:02

めぐりさん、報告コメントありがとうございます! さっそく、訂正エントリを書かせていただきます。

それから、マッチ率表示についても面白い違いがあるので、次のエントリにしてみます。

投稿: baldhatter | 2009/08/25 9:59:48

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