# 全体にかかわる
昨日書いた「国民的」。
「全体にかかわるさま」がどうにも気になるので、いただいたコメントも受けつつ、もう 1 回続けてみました。
> はじめてきいたのは、国民的美少女コンテストでしょうか。1987年だそうです。
私も、あの言い方以前にはあまり耳にした記憶がありません。正確には「全日本国民的美少女コンテスト」というんだそうですが、歴代の優勝者の名前を見ても、少なくとも私にはまったく「かかわっ」てなどいません。
これを企画した芸能事務所あたりが、「国民全体にかかわる」ようキャンペーンを展開した、そのための標語が「国民的」だったというにおいがします(もしかしたら、戦争中の国威発揚周辺でも使われていたのかもしれませんけど、そこまでは調べてません)。
そんな大衆芸能的な押し付けが、そのまま国語辞典の語義になったんでしょうか(ちなみに、「全体にかかわる」という定義は『大辞林』でも『国語大辞典』でもおおかた同じです)。
広辞苑(ただし第 5 版)に、「~的」で終わる語は 380 あります。「的」の意味がそもそも茫漠としていますが、それでも「国民的」と同じように「全体にかかわる」という意味を持つ語はほかにもありそうです。ところが、それに近い語としても、
国際的 = 諸国家に関係を有するさま
社会的 = 社会に関するさま
などがあるだけで、全文検索しても「全体にかかわる」と定義されているのは「国民的」だけのようでした。
語義として正確を期すなら、せいぜい「広く国民に関心を持たれている」くらいじゃないかなぁ。
11:10 午前 日記・コラム・つぶやき 翻訳・英語・ことば | URL
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コメント
「的」で思ったのは「官僚たちの夏」で出てくる「国民車構想」。これが「国民的自動車」だと意味が緩い気がします。
的は英語の「~tic」の訳語だとか聞いたことがあります。
投稿: 竹花です。 | 2009/08/14 23:48:54
> 「国民車構想」。これが「国民的自動車」
そう書かれて気づきました。あれって、Volkswagen だったんですね。
投稿: baldhatter | 2009/08/15 9:33:52
そうですね。ヒトラーがVolkswagen計画を提唱したのが1934年、日本は20年くらい遅れてます。
投稿: 竹花です。 | 2009/08/16 0:16:37
> ヒトラーがVolkswagen計画を提唱したのが1934年
言われてみれば、アウトバーンも、公共事業として成功したのはナチス時代だったかと。
投稿: baldhatter | 2009/08/16 11:48:10