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2009.06.30

# Studio 2009 レポート - てはじめに

詳細レポートの第 2 弾、実質的なファーストステップです。

アーキテクチャもインターフェースも一新となった今回のバージョンアップ。いちばん気になるのは、「今までとどう違うのか、従来のプロセスをどう変える必要があるのか」という点だろうと思います。そこでまず、私の手元にある、今までと同じジョブのセットを Studio 2009 で「プロジェクト」としてスタートする手順を示してみました。

セット内容は、メモリー 2 つと、作業対象の rtf です。用語集は含まれていません。

プロジェクトの新規作成

「プロジェクト」という考え方は今回が最初ではなく、2007 Suite から始まっています。要は、ターゲットファイル + メモリー + 用語集という複数のファイルを 1 つのセットにまとめ、その設定情報を XML 形式で保存しておく、ついでにプロジェクトの進捗(既訳と未訳の量)なども管理してしまう、という発想です。

従来のように、ファイルとメモリーを別々に開いて作業することも可能かもしれませんが、まずは「プロジェクト」を新規作成してみました。

[ファイル]→[新規作成]→[プロジェクト]

を選択して、ウィザードに沿って進みます。1)プロジェクト名やパスの設定、2)ソース/ターゲットの言語設定、3)ターゲットファイルの選択(ファイル単位/フォルダ単位)、あたりまでは特に問題なく進められます。その次がメモリーの設定になりますが、既存のジョブを 2009 環境に移行する場合は、ここが最初のポイントになります。

Projmem

Studio 2009 からはメモリーが、*.sdltm というファイル形式に変わりますが、このステップで[追加]ボタンを押せば、従来形式(*.tmw またはエクスポートした *.tmx)のメモリーを変換して追加することができます。ただし、私の環境では直接 *.mtw を選択するとエラーになってしまい、*.tmx しか受け付けてくれませんでした。

メモリーを旧形式から変換するときは細かいオプション設定も可能ですが、ひとまずデフォルト設定で問題なく変換されました(tmx ファイルは、あらかじめ 2007 上でエクスポートしておきました。形式は「tmx 1.4」を選択したので、それ以外の形式が正常に変換されるかどうかは未検証です)。

新機能 - 1 つのプロジェクトで複数のメモリーを指定可能

上記の過程で、メモリーは複数指定することができるようになりました。今回は 2 つ指定したので、こんな風になります。
Projmem2

このショットのチェックボックスでも判るように、各メモリーを検索対象にするかしないかを指定できるほか、メモリーごとにペナルティも設定できるので、複数メモリーの優先度をここで調整できることになります。

新機能 - 事前プロセスの一括処理

プロジェクトの設定が終わると、指定したメモリーとターゲットファイルを使って、事前処理が始まります。以前は個別に行っていた、解析→翻訳(既訳の埋め込み)という一連の作業を一括で処理できます。
Pre

このプロセス周りについても、けっこう細かい設定が可能になりました。
たとえば、このステップでは、
Pre04_2

些細な追加ですが、解析結果を示す数値範囲を変更できるようになっています。

プロジェクトの完成

これまでの手順でプロジェクトの設定が終わると、メインの画面にこんな風に表示されます。
Project

インターフェースの好みは人それぞれですが、「未翻訳」と「翻訳済み」のバー表示とか、見やすさに工夫があることは一定度評価できるかと。

このメイン画面で、ファイルを選択して実際に翻訳する場合は左ペインの[ファイル]ボタンをクリックし、開いているファイルの編集に戻る場合は[エディタ]をクリックします。で、メモリーを操作する場合は[翻訳メモリ]をクリック、というように機能ごとに画面を切り替える、まあ、ありがちな統合インターフェースではあります。

ファイルリストはこんな感じですが、
Filelist

このような概要表示だけでなく、解析結果とか進捗ステータスとか、いろいろと「プロジェクト管理」的な発想で表示を切り替えられるようになっています(翻訳者として使える機能かどうかは別)。

ファイルをエディタ上で実際に開いたところは......えーと。今回は、私の実際のジョブファイルをプロジェクトにしてみたので、ちょっとエディタ画面はお見せできないんでした。アハハ。

「てはじめ」としては、ひとまずここまで。

10:17 午後 翻訳・英語・ことば TRADOS |

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コメント

>プロジェクト

これはTRADOS GXTでも使われていましたね。GXTはこれまでに
何度か使ったことがあるので、すんなりと理解できました。
プロジェクトの作成画面も、細部は違いますが、全体的に
GXT(厳密に言えば私が使用したのはそのコンポーネントである
LM Studio)のレイアウトと似ています。
ただその後のTMの設定などは違うような…。
いやおかげさまで全体のイメージがつかめたような気がします。

投稿: Jack | 2009/07/01 23:14:20

TRADOS GXT って、はじめて見ました。たぶんフリーランス版にはない機能です(コーポレート版は、ずっと古いバージョンにしか接していません)。

ヘルプなどでは SDL GXT と書かれているので、Tradosネイティブではなく SDLX 側のテクノロジーだったのでしょうか。

投稿: baldhatter | 2009/07/02 8:06:42

>TRADOS GXT って、はじめて見ました。

「えっ、baldhatterさんが知らない!」と驚き、早速調べてみました。TRADOS用語集によると「実績のある TRADOS デスクトップ翻訳ソリューションとベストなワークフローを統合した、多言語展開のためのグローバリゼーション管理システムです。」となっています。おそらくコーポレート版とも違う、別売のシステムなんではないでしょうか(TRADOSのサイトをざっと見てみましたが、GXTに関する説明は見つかりませんでした)。
私が使ったのはその中のクライアントコンポーネントである「LM Studio」というものです。なのでサーバー側の機能や操作方法などはまったく分かりません^^;

投稿: Jack | 2009/07/02 11:44:07

Studio2009の全体のイメージがやっとちょっぴり把握できた感じです。プロジェクト管理という意味では、ずいぶん前のコーポレート版にも似たようなのがありましたね(いつもスルーで、個々のソフトをダイレクトに使ってましたがXXX)。
いずれにしても、使い勝手のよい方向に向かってるのならいいんですが。

これからもレポート楽しみに読ませていただきます。

投稿: 090716 | 2009/07/16 9:54:50

> おそらくコーポレート版とも違う、別売のシステム

そーいえば、一時期の Trados は、製品ラインアップがいろいろとややこしかった記憶があります。

> これからもレポート楽しみに読ませていただきます。

090716さん、コメントありがとうございます。
そうこうしているうちに、山本ゆうじさんがアルクのムックで特集記事をお書きになったりしているようですね。私はまだ見てないのですが。

投稿: baldhatter | 2009/07/31 17:04:37

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