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2009.05.27

# SDL Trados Studio 2009 紹介セミナー、その2

今回の紹介で判った範囲で、細かい機能について触れておきます。

まず、前回のエントリで勝手に予想した機能から ---

AutoSuggest
Idiom の Suggestion 機能(訳文の一部を勝手に置き換える)と同じかと危惧しましたが、違ってました。Google ツールバーとか ATOK でおなじみの「入力内容の推測機能」のことです。独自に用意した辞書やメモリの内容から、入力内容を推測して提示するそうです。ドキュメントの性質によっては便利かも。

Context Match
これは前回の予想どおり、Idiom の ICE マッチを踏襲した機能です。

リアルタイムプレビュー
XML ファイルにどのくらい対応できるのか、聞きそびれました。

PDFファイルのサポート
ファイルを開くとき以外は、思ったほど重くない感じで動いていました。ただし、当たり前ですがセキュリティ設定でコピーとかテキスト抽出が不可になっているファイルには対応しません。

複数メモリへの対応
リスト上の順番で優先順位を指定できるほか、画面を見たところ、メモリごとにペナルティを設定するとか、それなりに細かい設定項目がありました。


つづいて、今回わかった内容 ---

自動翻訳
はなっから、たいして期待はかけていない機能ですが、なんでも自動翻訳用のサーバーにアクセスして訳文を構成させるんだそうで。まず使いものにならないでしょう。

Auto Propagation
複数回出現している原文に訳文を反映させる機能。今までの Trados ではファイルをいちど閉じて[翻訳]コマンドを実行する必要がありました。Idiom から踏襲された機能ですが、Idiom より動作がまともそうでした。

メモリ内の訳語検索
今までできなかったのが信じられない、というところですが、訳文に対しても訳語を検索できるようになります。検索精度がどのくらい変わるのか、あまり突っ込んで聞き出せなかったのですが、「大小文字の区別」と「ワイルドカード指定」のオプションはさすがに追加されてました。

メモリのメンテナンス
メンテナンス用の画面はだいぶ使いやすくなるようです。メモリの内容がスプレッドシート形式で表示され、かなり簡単に編集できる模様。

キーボードショートカットのカスタマイズ
こんなもん、今さら謳い文句になるほうがどうかしてますが、信じられないことに今までは TagEditor でも Workbench でもカスタマイズはまったく不可でした。

その他
XLIFF 形式に対応(バイリンガル形式の XML ファイル)
バッチ処理(解析、翻訳など)の機能を改善
バイリンガル状態で HTML として出力可能

--------------------
インターフェースが大きく変わるので、今まで Trados も Idiom も使っていた人なら比較的スムーズに移行できそうですが、Trados オンリーだった方がいきなりこの環境に移るのは難しい気がします。

もうひとつ、今までスタンダードだった MS Word 形式のバイリンガルファイルが使われなくなるということで、たとえば今までその形のファイルでレビューを行っていたクライアントなども、簡単に移行はしないでしょう。SDL TRADOS さんとしては、「ソースクライアントも Studio 2009 を用意する」ことを想定して、その路線で営業をかけるものと想像されますが、どーなんでしょうね。

翻訳者の側にしても、基本的には翻訳ベンダーやクライアントに指定されたバージョンの Trados を使うはずで、独自に Studio 2009 の導入に踏み切るというケースは多くないでしょう。

10:08 午後 翻訳・英語・ことば TRADOS |

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コメント

ご報告、お疲れ様です。

>キーボードショートカットのカスタマイズ

これが目玉というのが悲しいソフトですね。昔、ゲーム用に使っていた8ボタンマウスをTRADOSに使おうかなと、妄想していた時期がありました。

来月の大オフ会には参加予定です。ただの初心者翻訳者ですが、よろしくお願いします。

投稿: curiouser | 2009/05/27 23:41:15

>> キーボードショートカットのカスタマイズ

あの手のソフトがめざしているのは、本当は「翻訳支援」ではなく「人海戦術(翻訳)支援」ですからね。そういう意味では、キーボードショートカットがカスタマイズできてはならないという考え方もあります。オンサイトではカスタマイズなんぞされたら困る、在宅もオンサイトに出てもらうことがあり得るから標準設定が使えないのは困るっていう考え方です。人間に合わせるためのツールではなく、人間が合わせるためのツールと言ってもいいでしょう。

ま、そこまで考えてなかったんじゃないかとは思いますけどね。

ちなみに今回のカスタマイズ、標準設定に戻す機能とカスタマイズ内容をファイルに書き出す機能、ファイルから読み込む機能も搭載されました? 今まで考えがあってカスタマイズをやらなかったのならこのくらいは用意するはずだと思いますけど。

投稿: Buckeye | 2009/05/28 4:48:51

> 来月の大オフ会には参加予定です。

おお。curiouser さんにもお目にかかれるんですね。楽しみです。

投稿: baldhatter | 2009/05/28 7:17:39

> 「人海戦術(翻訳)支援」ですからね
> キーボードショートカットがカスタマイズできてはならない

なるほどー。だったら、フリーランス版だけの機能ということにすればいいのに。

> 標準設定に戻す機能とカスタマイズ内容をファイルに書き出す機能

鋭いご指摘。どちらもあったように記憶しています。

投稿: baldhatter | 2009/05/28 7:29:17

「なるほど、なるほど」と興味深く拝見しました。

>Trados オンリーだった方がいきなりこの環境に移るのは難しい気がします

私がまさにこのケース。Idiomは使ったことがありません。ただ画面は見たことがあるので、イメージは分かります。

>翻訳者の側にしても、基本的には翻訳ベンダーやクライアントに指定されたバージョンの Trados を使うはずで、独自に Studio 2009 の導入に踏み切るというケースは多くないでしょう

これも大きな問題ですね。実際に導入しても「お仕事がありません」では宝の持ち腐れ。さらには旧バージョンも用意しておかなければならず(一時期私のPCには5.5、6.5、7.5と3つのバージョンが並存してました)、バージョン間のコンフリクトというのも気になります。

どうやらbaldhatterさんは導入を決めていらっしゃるようなので、私はその使い勝手をうかがってから購入の是非を決めようかと…(すでにbaldhatterさんのレポートを期待している^^; あとはバージョンアップ料がいくらになるかですね)。

投稿: Jack | 2009/05/28 10:38:10

> バージョン間のコンフリクトというのも気になります

従来のバージョンとの混在は大丈夫ということになっています。今までも基本的には複数バージョンのコンフリクトというのはなかったと思います。

> あとはバージョンアップ料がいくらになるか

SDL TRADOS さんのアナウンスによると、
- アップグレードは2世代前までが対象 -
となっています。今回の Studio 2009 へのアップグレード料金はこちらのページに載っています。
http://www.translationzone.com/jp/shop/shop_upgrades.asp
ここにある以前のバージョンだとアップグレードでなく新規購入の扱いになるようです。

投稿: baldhatter | 2009/05/28 11:37:10

早速のご返事ありがとうございました。
バージョン間の問題というのは、私の(環境の)場合、5.5と6.0で、また6.5と7.0でマイナーな問題がありました。いずれも、古い方のバージョンをアンインストールして対応しましたが、TRADOSのサポートからも同様の解決策を推奨されました。
価格の方は、例によって「先行特別ご優待」があるんですね。さてどうしたものか…。結局は買うんですけど、そのタイミングが悩みどころです(ここのところ出費がかさんでるため^^;)。

投稿: Jack | 2009/05/28 12:03:57

>MS Word 形式のバイリンガルファイルが使われなくなる
私のところは、翻訳者、チェッカーなどが数名でチームを組んで翻訳作業を行っており、Wordのバイリンガルファイルでチェックしています。ということは、チーム全体、全員がすべて乗り換える必要があるわけですね。
んん、となると、乗り換えはなさそうですねぇ。

投稿: ks | 2009/05/29 5:20:18

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