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2009.04.16

# 『仕組み進化論』は「小飼弾の」でいいのだ

3月末、来京した「頭ん中」のマスナガさんにお会いしました。

そのとき私から差し上げたのがこれで、

リンク: ちょっと変わった手拭いをプレゼントしてもらった - 頭ん中

意表を突いたという以外なんの実用性もなかったわけですが、逆にマスナガさん(を経由して日本実業出版社さん)からいただいたお土産は実用性 150% と言えるこちらです。

著者は、泡沫ブロガーの私などが今さら紹介するまでもない小飼弾氏(なにしろ、戦闘力が私の 42 倍もあるのだ)。

目次は著者のブログに載っている、とマスナガさんも無精しているので、私ももちろん省略。詳しい内容も、もういろんな人が書いてるだろうから割愛するとして、

リンク: 『仕組み進化論』は「小飼弾の」でいいんだろうか - 頭ん中

実は、私はこれと正反対に、

本書はまさに "小飼弾の「仕組み」"

だなぁと考えていたところなんでした。

日本語の「の」という助詞は実に多様で、かつて、今よりもっと面白かった頃の養老孟司に『ヒトの見方』という著作がありましたが、これなどは「ヒトが見る見方」とも「ヒトを見る見方」とも読めるタイトルでした。

本書も、「小飼弾が書いた仕組み本」である一方、さりげなくではあるけれど「小飼弾という仕組みについての本」にもなっている、私はそうにらんでいます。

仕組み本を読んだからといってその仕組みを実践できるとは限らないわけなので、これを読んだ誰もが小飼弾になれるはずはないのですが、少なくとも小飼弾というシステムの片鱗を伺い知ることはできそうです。

氏の強みのひとつが、膨大な読書量とそれを支える速読技術にあることは有名です。

リンク: 404 Blog Not Found:速読に役立ちそうな5作品とその読み方

このエントリで紹介されている速読の基礎はこうです。

1. まず目次をじっくり読む
2. 序章と「おまけの章」をさっと読む
3. 図版(ポンチ絵)をざっと見る。地の文はとりあえず無視する方向で
4. 太字のところだけじっくり読む。
5. 頭から通読する

実はこの本、この速読ノウハウをそのまま実践できるテキストとして構成されています(普通に読んでも 1 時間足らずで読めますけど)。日本実業出版社さんの本はわりとこのノウハウでいける作りになっていますが、本書は特にそれが徹底していると言えます。

そもそも目次が適切であるためには、本文の段落構成がしっかりしていなければならず、そのためには整然とした論理の土台が必要なわけですから、目次が適正に作られているなら、それを追えば内容をある程度把握できるのは当然(にもかわらず、実際には目次がきちんとしている本って意外と少なかったりします。特にブームになってからの新書の大半は、目次の作りでおおよそ内容も知れてしまうレベルです)。

ということで、逆に言うと本書はこういう速読法に適するように最初から意図されているわけで、理想的な実用書のフォーマットはこうだぞ、というサンプルを提示してもいることになります(仕組み本を謳うならこれくらい書けよ、という著者の自負でもある)。

こんな風に、"仕組み本" でもあり "実践テキスト" でもあり "フォーマットサンプル" でもあるという重層構造。それを一見すると易々構築してみせてしまうところが「小飼弾という仕組み」のスゴさです。

ところで、この本の正しいタイトルは、もちろん

『小飼弾の「仕組み」』

ではなく、

『小飼弾の「仕組み」進化論』

なんであって、「~の」は「仕組み」ではなく「進化論」に掛かっているというのが正しい解釈かもしれませんね。それでも私は、このタイトルが

小飼弾の仕組み
      仕組み進化論

という二重構造になっているとあえて唱えておくことにします。そのほうが、

「小飼弾の仕組み」を知るための入門書であり、
「仕組みの進化」を論じた本であり、
「小飼弾の仕組み本が進化」した結果である(あとがきにそんなことが書いてある)

という本書の内容に相応しいでしょうから。

07:53 午後 書籍・雑誌 |

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