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2008.08.04

# TRADOS - 書かれていないこと

『稼げる実務翻訳ガイド』という定番ムックで「×文節、○分節」という誤字があるという話を先日のエントリで書きましたが、ほかにも気になる記述がありました。

Wordをそのままま使えるということは、多機能な検索や、技術に強い方であればVBA(マクロ)も自由に動かすことができるということを意味しています。

Trados 紹介の記事では、Word をフロントエンドとして使用することがこのようにメリットとして書かれることも少なくありませんが、そこに落とし穴もあるということはなかなか語られないようです。

Trados + Word という環境については、このムックに限らず今までの多くの紹介記事でもほとんど触れられていない重要な点があります。それは、

Word 上の Trados 機能はマクロで組まれている

ということです。Trados をインストールした Word で[ツール]→[マクロ]を見てみると、"tw4win" という文字列で始まるマクロがたくさんあります。Word 上の Trados 機能は、実はこのマクロ群で実現されているに過ぎません("TRADOS7.dot" 等の名前のテンプレートが追加されている)。

Word 上で訳文を処理するときは、これらのマクロが 1 ステップずつ実行されています。何らかのセグメント操作後に[編集]メニューで UNDO 履歴を見てみれば、「ブックマークの編集」とか見たことのない VBA とかが並んでいるはずです。ファイルを破棄してもかまわなければ、Ctrl + Z を何回も繰り返してみると、画面上で面白い動作を見ることもできます。

で、これの何が問題かというと、マクロを構成する複数ステップの途中で処理が止まってしまうと、セグメントの処理がおかしくなって進退きわまることさえあるということなのです。「複数ステップの途中で処理が止まる」などということは普通なさそうなのですが、訳文の処理中にたとえば Ctrl + Z を使うことはあるわけで、不用意にそうした操作をすると、「セグメントが壊れた状態になる」ことが実はしばしばあります。

Trados もそのことは判っているらしく、メニューには[文書の修正]という機能があるのですが、これで修正できないこともたびたびあります。

Trados を使い始めた人がこのトラブルに陥ることはけっこうありそうに思うのですが、この点は一向に大きく扱われていないようです(ヘルプやマニュアルにも見当たりません)。

私自身が人に Trados の使い方を教えるときは、もちろん早々にこの点を伝えるようにしていました。

02:18 午前 翻訳・英語・ことば TRADOS |

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