# TRADOS - ではどうやって使おうか
(前エントリの続き)
Buckeye さんのそもそもの TM に関する言及ですが、
さらに余談ながら、だから私は翻訳メモリを使いたくないし、力をつけたいなら使わないほうがいいとアドバイスをしている。
これは「翻訳全般」の話として読んだときに首肯できるのであって、ローカライズという世界はちょっと例外です。だから翻訳者を志望するなら、(需要は常に多いけれど)いきなりローカライズの世界に飛び込んだりはしない方がいい。翻訳とローカライズはかなりの部分別物、この辺を翻訳雑誌さんなどももう少し強調してくれた方がいいと思います。
TM を使うとき、
既訳(過去に訳した原文―訳文のペア)の再利用を必須の義務と考えるのではなく、訳文考案の補助手段と割り切る
という方向性が、"本来の" 翻訳にもメモリというツールをある程度有効活用できるカギになるだろうと最近ときどき考えています。というか、そういう使い方を個人的にしています。
自分が過去にこういう訳をした。それと似ている原文が目の前にある。この言い回しとこの訳語は使い回せる。この訳語は言い換えなければならない。センテンスの構造は今回はこうしなければならない。
そういう風に考えて訳文を組み立ててゆく使い方もありではないかと。もちろんこれは、単純ローカライズの翻訳案件では使えません。
と、この辺まで書きかけて仕事をしていたら、Buckeye さんのところでさらにコメントが。
なんといっても大きいのは「なぜ翻訳メモリを使うのか」です。これが「訳文の再利用ではない」なら、つまり、翻訳メモリ最大の機能を捨てるのであれば、問題はないと思います。
つまりそういうことです。「最大の機能を捨てる」とまで言わなくとも、いいとこ取りだけすればいい。
ツールはツール。♪敵~に渡すな大事なリモコン。
(すいません、ツールの運用論ということになると、どうしてもこのフレーズが浮かんでしまう世代です)。
05:55 午後 翻訳・英語・ことば TRADOS | URL
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: # TRADOS - ではどうやって使おうか:
» TRADOSを使う理由 トラックバック Party in My Library
翻訳にTRADOSを使っている。その理由は…。 [続きを読む]
受信: 2008/07/08 23:59:29
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
>ツールはツール。
trados は、あくまで翻訳「支援ツール」である、と捉えています。
しかし、個人的には好きではありません(笑)。
投稿: ishida | 2008/07/02 19:18:33
面白い話題ですね。
私もTRADOS使用歴だけは長い方(らしい)ので、
いろいろ考えるところはあるのですが、私が
TRADOSを(クライアントからの指定がなくとも)
使う最大の理由は「訳抜け防止」・・・これにつき
ます。
今度自分のブログにも書いてみたいテーマです(今は
仕事であっぷあっぷしてます^^;)。
投稿: Jack | 2008/07/03 9:49:52
翻訳メモリや機械翻訳ソフトを「訳抜け防止」目的に使うって話はよく聞くんですが、そういうツールがどうして「訳抜け防止」になるのか、私には、正直、わかりません。訳抜けしてもツールは何も指摘してくれないし(ですよね?)、実際、後工程の品質管理で訳抜けチェックをすると訳抜けする人はいっぱいするししない人はしないという他のやり方と(少なくとも表面的には)同じ結果しか出ないと聞いています。
ぜひ、エントリーを書いて、baldhatterさんとこにトラックバックなど送ってくださいませ>Jackさま
投稿: Buckeye | 2008/07/03 16:50:53
> 個人的には好きではありません
どんなツールにも相性と慣れがありますし。
文句をいろいろと書いているわりに、私は基本的に Trados 嫌いではありません。ただし、これまでの進歩の遅さに開発元の怠慢を感じます。
> 今度自分のブログにも書いてみたいテーマで
ぜひぜひ。いろんな人の Trados の使い方を伺ってみたいと私も思っています。
投稿: baldhatter | 2008/07/03 16:51:33
先日は、Workbenchでの表示についてアドバイスをいただきありがとうございました。
私は医薬関係の翻訳でTradosを使っています。使用目的はもっぱら用語の統一です。とあるプロジェクトに参加しているのですが、複数の翻訳者がおり、その間での用語の統一を図ること、また最終クライアントによって同じ用語でも異なる訳語が指定されているケースがありますので、最終クライアントの指定どおりの用語の使い分けの徹底。この2点です。以前にやった訳文を参考にする、というケースはほとんどありません。
用語の統一だけならなにもTradosを使わなくてもよいだろう、という意見もありますが、私がプロジェクトに参加した時点でもうすでにTradosデフォルトで進行しておりましたので、そのままになっています。中央線に乗ったら、それが快速で、目的地までは特快の方が早く着くけれど、まぁ、座れてるし時間的にも間に合うからこのままでいいか、というところでしょうか。
投稿: ks | 2008/07/04 7:50:13
ks さん、拙ブログへのお越しとコメントをありがとうございます。
たしかに、用語統一だけが目的なら他にも方法がありそうですが、
> 中央線に乗ったら、それが快速で、目的地までは特快の方が
> 早く着くけれど、まぁ、座れてるし時間的にも間に合うから
> このままでいいか
そいう発想に基づく選択って、実は人生の中でけっこう多そうです。
投稿: baldhatter | 2008/07/04 16:14:32
すみません。議論についていけていません(←やりとり全般についてです)。この目的でなら、TRADOSと縁のない私は、KWIC FINDERを使っているし、訳抜け防止なら、ワードの使い方を工夫しているし、用語の統一は、SimplyTermsとKWIC FINDERでやってるし。何か、あちこちで展開される議論を、《TRADOSとは》ではなくって、翻訳作業のどの部分をどう機械サイドに預けながら機械と一緒に作業していくか(私の言い方としてなら、《どのようなサイボーグとなることを主体的に選択するのか》ということになりますが)というところから、やりなおした方がいいような気がします。でも、そうすると、ローカライズという、かなり特殊な(そして、それはそれで大切な?)分野を切り落とした議論になっちゃうという批判が来そうだし……うぅぅん。
投稿: Sakino | 2008/07/17 12:25:44
Sakino さん
> でも、そうすると、ローカライズという、かなり特殊な(そして、それはそれで大切な?)分野を切り落とした議論になっちゃうという批判が来そう
実は私も、TRADOS 議論については、それに近い限界を最初から感じています。コメント欄で展開するには長い話になるので、せっかくですから新たなエントリで話を続けたいと思います。
投稿: baldhatter | 2008/07/17 13:46:56
はい。
投稿: Sakino | 2008/07/17 14:04:58