# 8月15日に
12 日に NHK で、水木しげるのドラマが放送されました。
NHKスペシャル「鬼太郎が見た玉砕~水木しげるの戦争~」 8月12日(日)総合・午後9:00~10:29放送
ところどころに NHK らしいベタさがあるのは毎度のことですが、香川照之(水木しげる、丸山二等兵)の演技は見応えがありました。小生ごひいきの塩見三省も本田軍曹役が実にはまってました。
このドラマの原作である『総員玉砕せよ!』を水木しげるが執筆する場面の、ペン入れの効果音が効いてました。
原作漫画(講談社文庫で入手可能)のあとがきだけ一部引用します。
だいたい同じ島で「オレたちあとで死ぬから、お前たち先に死ね」といわれても、なかなか死ねるものではありません。 「玉砕」というのは、どこでもそうですが、必ず生き残りがいます。 (中略) ラバウルの場合、後方に十万の兵隊が、ぬくぬくと生活しているのに、その前線で五百人の兵隊(実際は三、四百人)に死ねといわれても、とても兵隊全体の同意は得られるものではない。 (中略) 事実はとなりの地区を守っていた混成三連隊の連隊長は、この玉砕事件についてこういった。 「あの場所をなぜ、そうまでにして守らねばならなかったのか」 ぼくはそれを耳にしたとき「フハッ」と空しい嘆息みたいな言葉が出るだけだった。
玉砕という蛮行の、ひいては戦争という行為の愚かしさ、空しさを端的に物語る話です。
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ところで、小生の祖父は大正の生まれだったので、太平洋戦争ではとうぜん出征したそうです。しかも、南方戦線のどこかにいたはずなのですが、なぜか生前の祖父がその頃の苦労話をしたという記憶がまったくない、最近までそのことが不思議でした。
最近になってようやくウチの親が語ったところによれば、なんでも上級士官の世話係みたいなことばかりしていたので、前線に出たことすらほとんどなく、食べ物の苦労とも無縁だったんだとか。
同じ戦争にかり出された一兵卒でも、そーゆー場合もあったのかとある意味ひどく感心しました。
02:05 午後 映画・テレビ日記・コラム・つぶやき | URL
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コメント
まだ録画だけして見ていませんが、なかなか良さそうな話しです。
実際、玉砕するより撤退して戦力を温存する方が戦略的に勝ち目があるのですが、ヒトラーも日本軍もおかしいです。「死ぬまで戦え」はありでしょうが、「死ぬために戦えは」本末転倒です。
今の状況でいうなら、寝ないで運転しろと運転手に命じたら、その運転手が事故って、輸送会社の社長が警察に捕まるみたいなことでしょうか。
飢餓状態のスターリングラードでもドイツ軍本部はかなり食料に恵まれていて、パウルス元帥は毎日風呂に入っているという話があったとか。
>、なんでも上級士官の世話係みたいなことばかりしていたので、前線に出たことすらほとんどなく、食べ物の苦労とも無縁だったんだとか。
確かにそういう話もあまりしたくないと思います。
投稿: 竹花です。 | 2007/08/15 15:27:06
> 「死ぬために戦えは」本末転倒
死ぬという美学の方が先にある、もしくはそれだけがあるから成り立つんでしょうね。
> 確かにそういう話もあまりしたくない
確かに。自分だけが楽をしたという負い目になっていたかもしれません。
投稿: baldhatter | 2007/08/15 19:47:03