# 翻訳の不始末
リンク: Game*Spark - : 原因はたった一つの単語?『マリオパーティ8』がイギリスでリコールの対象に by riot_兄
「歴史を変えた誤訳」(鳥飼玖美子)というほど大袈裟な話ではありませんが、翻訳におけるちょっとした誤差がそれなりに大きな影響をもたらしたという点で興味深いニュースです。
先週末、任天堂ヨーロッパの発表により、海外で先行発売されたニンテンドーWiiのマリオパーティ8が、イギリスで初期出荷分すべてがリコールの対象になり、DestructoidやHaHa UKなど複数サイトが伝えるところによると、回収になってしまった原因として、ゲーム中のテキストで不適切な単語が使われていたことが指摘されているようです。(このサイトの日本語も問題ありだ)
海外サイトの情報によると、今回のリコールの原因になったのは、ゲーム中にミニゲームのルールを説明するカメックから発せられる“Spastic”というたった一つの単語……。この単語が、イギリスでは差別的、あるいは中傷的な用語としてセンサーに引っかかってしまったようです。
この単語、spasm「痙攣」の派生語だと思いますが、そこから広がって「とろい」とか「鈍くさい」とか「いかれた」とか、そういった負の語義が付随しているのですね。今の日本語でも「ビョーキ」とか、もっとヒドい単語で似たような用法がありそう。
問題の単語は、ミニゲームのルール解説中でこんな風に使われたのだとか。
Turn the train spastic!
Make the ticket tragic!
何だろ、「列車を揺らせ」とか言いたかったのかな。あんまり表現に凝らなければよかったのに。
この手の単語は、辞書でひくと「侮蔑的」などのラベル --- 辞書の解説ではスピーチレベルなどと言う --- が付いています。英英辞典では "Offensive" ですから、かなり失礼な部類。使用は避けておくのが無難でしょう。
英語へのローカライズでは当然ネイティブチェックもあったはずですが、そのネイティブが米語圏の人だったのでしょうか。
01:01 午前 翻訳・英語・ことば社会・ニュース | URL
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コメント
恐ろしい…
投稿: 竹花です。 | 2007/07/18 14:02:03
恐ろしいです。自分がこれをやらかさないという保証はありません。
投稿: baldhatter | 2007/07/18 20:25:23
わあ-、いつぞやのトラウマが……。
ニンテンドウサイドでは、大勢の翻訳者が○○なことになってるでしょぅねぇ。
投稿: あやや | 2007/07/18 21:35:07
> 大勢の翻訳者が○○なことに
でも、翻訳者個人レベル、もしくは翻訳を請け負った会社に今回の責任を負わせるのは酷ですよね。
投稿: baldhatter | 2007/07/19 0:41:02