# Potter-ian と Luddite fool
リンク: 『ハリー・ポッター』最新巻、発売数時間で海賊版が出現(上)
いや、もちろん小生がハリポのネタを真面目に取り上げるわけはないので...。Wired のニュースは原語を見るといろいろと面白い、そんな話です。
『ハリー・ポッター』シリーズの著者、J・K・ローリング氏が「技術オンチ」との批判を浴びている。同氏の方針が、結果的に、シリーズ最新巻の公式発売からわずか数時間後に海賊版が作成される事態を招くことにつながったためだ。
Author J.K. Rowling has been branded a "Luddite fool" for inadvertently encouraging fans to pirate the latest Harry Potter book only hours after its official release.
(ともにボールド追加は小生)
原語ニュースの見出しは "Pirates of the Potter-ian"。Potterian は「ハリーポッターファン」のことでしょうが、英辞郎にはすでに Potterhead とか Pottermania という造語も収録されていました。
さて、注目は「技術オンチ」の原語です。読んだ瞬間に元は凝った表現なんだろうと踏んだのですが、"Luddite fool" とはまた大仰な名前なのでした。
Luddite とは、中学校の歴史にも出てきた(と思う)、あの有名な「ラッダイト運動」---19 世紀にイギリスで起きた機械破壊運動---のラッダイトですね。当時の産業革命で自分たちが職を失うことを恐れた、あるいは急激な技術革新についていけなかった、もしくはついていきたくもなかった人たち、それがラッダイトです。
今のところ対訳は 1 件も見つかっていませんが(英語でも 35 件だけ)、「ラッダイト派のバカ」、つまり「技術の革新に疎い人」といった意味合いでしょうか。ローリング女史が本当に技術オンチなのかどうかはともかく、面白い単語を引っ張り出してきたものだと思います。
ただし"Luddite fool" という言い方には、明らかに「主義でやっている」というニュアンスが含まれているはずなので、「オンチ」---これ、もしかして漢字で書くと差別用語なのか?---という「先天的、本人にはどうしようもない」という語感を伴う訳語では、けっこうズレがあるようにも思います。
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