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2005.05.31

# 日本の司法は大丈夫か

リンク: もんじゅ訴訟:最高裁判決は疑問符付き「ゴーサイン」

最初は朝日の記事にリンクしようと思いましたが、毎日の方がわかりやすい^ ^。

高速増殖炉「もんじゅ」の原子炉設置許可処分を適法と認め、原告側逆転敗訴とした最高裁判決は、原発に反対する住民には極めて厳しい司法判断となった。「不当だ」と批判する住民側に対し、国や事業者は、事業推進への「お墨付き」と受け止める。それでも、かさむコストや安全性から、実用化には疑問符が付いたままだ。

昨日の時点であまり良い予想はしていなかったのですが、ここまできれいにひっくり返してくれるとは...。

原発の存在自体の是非は措くとして、関係者らも嘆いているように今回の経緯の最大の問題は、"疑問符付き"と言われるほどに科学的な根拠が曖昧なまま、司法が行政の思惑べったりに見えてしまう、その自律性の欠如だろう。

狭山事件の再審請求も未だに通らない、この国には本当に独立した「司法」というものが存在するのだろうか。「もんじゅ」などと---名前負けも甚だしいなぁ。

長いですが、以下、記事全文です。

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高速増殖炉「もんじゅ」の原子炉設置許可処分を適法と認め、原告側逆転敗訴とした最高裁判決は、原発に反対する住民には極めて厳しい司法判断となった。「不当だ」と批判する住民側に対し、国や事業者は、事業推進への「お墨付き」と受け止める。それでも、かさむコストや安全性から、実用化には疑問符が付いたままだ。

 「再開に向けた準備を粛々と進めるだけ」。もんじゅを推進する国や事業者は、国側勝訴の判決を最終的な“ゴーサイン”と受け止めている。

 もんじゅは今年秋から約179億円かけた改造工事が始まり、08年初頭の運転開始が予定されている。文部科学省は再開後の10年程度で、当初の目的だった発電プラントとしての信頼性の実証やナトリウムの取り扱い技術を確立。その後も長寿命の超ウラン元素の燃焼などに取り組む計画だ。

 運転再開後、順調なら年間100億円以上の売電収入が得られるが、運転・維持費は毎年150億〜200億円と見込まれる。このため建設費を含めた経費は近い将来、1兆円の大台に迫る勢いだ。しかも「原型炉」であるもんじゅの次の段階、「実証炉」の計画は今のところ全くない。

 電気事業連合会は94年1月、もんじゅの成果を取り入れた実証炉1号機(出力66万キロワット)を00年代初頭に着工すると発表した。しかし、95年の円高に伴う内外価格差の解消、電力自由化の流れで状況は一変。政府の原子力委員会は97年末、高速増殖炉懇談会の最終報告で「将来のエネルギー状況を見ながら、柔軟に対応していく」とし、実証炉の計画は白紙に戻った。

 国は次世代型の原子炉を見込んで、もんじゅを核とした実用化戦略調査研究を電力事業者とともに進め、2015年までに結論を出す方針だ。しかし、業界関係者は「電力業界には、将来も実績のある軽水炉の改良版を使えばよいとの意見も根強い」と明かす。

 文科省の幹部は「国がせっかく開発した技術が捨てられてしまう懸念はある」と語り、実用化の見通しが不透明なことを認めている。【中村牧生】

 ◇2審の違法性指摘と正反対、国の主張を追認

 30日の最高裁判決は、過去の判例に沿って、原子炉の設置許可に関する審査の対象を、安全対策全般でなく、原子炉と周辺施設の「基本設計」に限定したうえで、その内容について、国に一定の裁量権を認めた。このため、2審が違法性を指摘した数々の問題点は、安全審査の対象外とされ「現在の科学水準に照らしても、看過しがたい過誤、欠落はない」と正反対の結論を導き出した。

 もんじゅ訴訟には大きな特徴があった。毒性の強いプルトニウムを燃料とし、水や酸素と激しく反応するナトリウムを冷却材として使ううえ、まだ研究段階にあるという施設固有の危険性を巡る安全審査の是非が問われた点だ。

 実際に95年、2次冷却系でナトリウム漏れ事故が発生し、多くの国民が施設の安全性に疑問を持った。特に事故後の実験で、ナトリウムとコンクリート床との接触を防ぐために敷設された鋼板(床ライナー)に、特殊な腐食で穴が開く可能性があることが判明。この腐食対策も、訴訟で大きな争点の一つとなった。

 名古屋高裁金沢支部判決(03年1月)は、稼働実績のある商業用原子炉に比べて安全審査の対象が広範囲にわたると指摘。事故後に分かった腐食への対策が、過去の安全審査で考慮されていないことを許可処分を無効とする要因の一つに挙げて国を厳しく批判した。

 これに対し、最高裁判決は、安全審査の対象選択に国の裁量を認めたうえで、事故後に露見した欠陥については「許可前の審査対象に含まれていなくても不合理ではない」と判断。蒸気発生器の伝熱管破損事故対策で「高温ラプチャ型」と呼ばれる破損を考慮していなかったため「炉心崩壊を起こす恐れがある」とした2審の指摘も「高温ラプチャを相当程度回避できる設計で、合理的推論とは言えない」と国の主張を追認した。

 だが、訴訟を通じて司法が確認したのは、原子炉設置許可をした時点の安全審査が「不合理ではない」という点だけだ。最高裁判決も「後続の認可の段階で十分な審査がされなければ、その認可の違法が問題とされる」と指摘、現在の施設の安全性まで保障したものではない。今後の科学技術の進歩で新たな知識が得られれば、信頼が再び揺らぐことも考えられる。国や事業者には、徹底した安全管理が求められる。【木戸哲】

 ◇核燃料サイクルとは…使用炉に応じ2種類

 軽水炉で燃やした使用済み核燃料の中には、燃え残りのウランやプルトニウムが含まれる。使用済み核燃料を再処理してこれらを取り出し、新しい燃料として再度、原子炉で使うのが核燃料サイクル。これには軽水炉を使うものと高速増殖炉を使うものの2種類がある。

 前者は、青森・六ケ所再処理工場の07年稼働で一部が動き出す予定だが、コスト高や余剰プルトニウムの発生が課題。プルトニウムはウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料に加工し、軽水炉のプルサーマルで燃やす計画。

 後者は、燃えないウラン(ウラン238)をプルトニウムに変換でき、ウラン資源の大幅な節約につながるが、当面動く見通しはない。

 高レベル放射性廃棄物を深地層に埋める方法や場所は未定だ。【中村牧生】

 ◆研究開発必要ない

 ▽NPO法人・環境エネルギー政策研究所、飯田哲也所長の話 国の役人は自らのメンツのために上告し「政策が間違いでなかった」と誇示するために、運転を再開しようとしている。もんじゅに将来性はなく、研究開発も必要ない。国は高裁判決で敗訴した時点で、廃炉にすべきだった。

 ◆再開を急ぐべきだ

 ▽ エネルギー戦略研究会を主宰する金子熊夫・元東海大教授(社会科学)の話 今回の最高裁判決は予想通りの結果で、あっけないほど常識的なものだったと思う。高速増殖炉をやらないと、日本のエネルギー政策は未完成であり、もんじゅは早く運転を再開すべきだ。原型炉でもたついていては実用化の有無も判断できない。

 【原発開発の4段階】新型の原発は「実験炉」「原型炉」「実証炉」「実用炉」の4段階で開発される。もんじゅは実験炉「常陽」に続く原型炉で、技術的な性能の見通しを得るのが目的。実証炉は実用規模の実証と経済性の見通しが目的で、電気事業者の責任で開発が進められる。

01:00 午後 社会・ニュース |

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「高速増殖炉もんじゅ裁判住民敗訴」に関連するブログ記事から興味深いものを選んでみ... [続きを読む]

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» 「もんじゅ」最高裁判決についての声明〜「美浜の会」webページより トラックバック みどりの一期一会
今日の朝刊各紙の一面トップは、 福井県敦賀市の高速増殖炉「もんじゅ」の 設置許可の無効を求めた行政訴訟の、 最高裁判決の記事。 最高裁第一小法廷の判決は、全員一致で、 「安全審査の調査審議、判断の過程に看過したがたい過誤、 欠落があるとは言えず、原子炉設置許可処分は違法とはいえない」。 提訴から20年、「原判決破棄・控訴棄却」の最高裁判決で、 「住民敗訴」の福井地裁判決が確定した。 最高裁の判断は、行政(国)の言い分... [続きを読む]

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» 「もんじゅ訴訟 安全審査の違法性否定」毎日新聞(5/31朝刊)を読んで トラックバック ウーツー(CDレビューア)
もんじゅ訴訟 安全審査の違法性否定  核燃料サイクル開発機構(核燃機構、旧動燃)の高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)を巡り、周辺住民32人が国による原子炉設置許可処分の無効確認を求めた行政訴訟で、最高裁第1小法廷(泉徳治裁判長)は30日、原発訴訟で初めて住民勝訴とした名古屋高裁金沢支部判決(03年1月)を破棄し、 住民側の請求を棄却した。判決は「安全審査に看過し難い過誤、欠落はなく、許可処分が違法とはい... [続きを読む]

受信: 2005/06/01 16:30:33

» 「もんじゅ」逆転敗訴〓 トラックバック つるつるいっぱいの宇宙
 んーと、なんか長々と書く気は失せました。いや、ほんとこのニュースって、けっこう簡単にスルーされてるような…。やっぱ、みんな関心ないのかな。つーか、こういう判決を見ると「やっぱお上には逆らえないんだ」って、シラケちゃうんだろうな…。  最近は行政訴訟で... [続きを読む]

受信: 2005/06/02 5:43:30

コメント

失礼な話ですが、原告敗訴の理由の一つとして、原告側の態度があると思います。
 原告側のHPでは、判決の前では『自分たちが絶対正しい!上告する国が間違っている!』と言う感じの攻撃ぶりを見せ、敗訴すると『不当判決!』など、最高裁を罵倒する意見が次々と出されました。思わず『何でそこまで「もんじゅ」が嫌いなの?』と唖然としました。
 裁判においては、裁判官を味方に付けた方が勝ちです。
まして原告団は「もんじゅ」で、直接的な被害を受けているわけではありません。それなのに、ここまで裁判官・裁判所を攻撃するような態度では、かなりまずいでしょう。

 皆様も裁判をするときは、裁判官への心象は、良くしましょう。

P.S. 「もんじゅ」の語源は、『文殊菩薩の知恵も借りたい』という、”願懸け”的なものです。

投稿: ホシノミヤ | 2005/06/12 23:27:48

ホシノミヤ様、コメントありがとうございます。

> 失礼な話ですが、原告敗訴の理由の一つとして、原告側の態度があると思います。

申し訳ありません、あげ足を取る意味では決してなく、「失礼な話」という前置きの掛かり先が判りません。ホシノミヤ様がご自身のコメントについてご謙遜なさっているのか、小生の書き方がどなたかに対して礼を失していたのか、それとも「原告側の態度で裁判の行方が決まってしまう」そのことが失礼なのか...。

> 裁判においては、裁判官を味方に付けた方が勝ちです。

そうであれば、なおのこと司法の行く末がますます不安です。「裁判官も人の子」というのは、そもそも司法の根底の否定でしかありません。

> まして原告団は「もんじゅ」で、直接的な被害を受けているわけではありません。

直接的な被害を受けた者だけが運動を起こせるという理屈は初耳です。

> 『文殊菩薩の知恵も借りたい』という、”願懸け”的なものです。

ということは、「もんじゅ」の成否に科学的根拠はまったくなくて、うまくいくかどうかはまったく神頼み、ということなのでしょうか。

投稿: baldhatter | 2005/06/13 2:55:29

>申し訳ありません、あげ足を取る意味では決してなく、「失>礼な話」という前置きの掛かり先が判りません。

 ただの謙遜でございます。文章が下手ですみません。

>>まして原告団は「もんじゅ」で、直接的な被害を受けてい>>るわけではありません。
>直接的な被害を受けた者だけが運動を起こせるという理屈は>初耳です。

 民事訴訟法の、「当事者能力」の原則ですよ。裁判によって法的利益を持たない者は、原告になる資格は無いんです。

>裁判においては、裁判官を味方に付けた方が勝ちです。

 残念ながら、これは事実なんです。
ウソだとお思いでしたら、お近くの弁護士などに聞いて下さい。

>>『文殊菩薩の知恵も借りたい』という、”願懸け”的なも>>のです。

>ということは、「もんじゅ」の成否に科学的根拠はまったく>なくて、うまくいくかどうかはまったく神頼み、ということ>なのでしょうか。

 では、ビルの起工式や船の進水式の祝詞は、「このビル(船)の安全性の科学的根拠は全く無い。だから神頼みをする」と仰りますか?
 「もんじゅ」のそれは、本当に、ただの願懸けですって。 

 第一、いくら役人がバカだからと言っても「もんじゅ」の成否に科学的根拠が無くて、研究のゴーサインは出しません。勝算があってこそ、増殖炉の研究を始めたのです。

投稿: ホシノミヤ | 2005/06/16 23:37:06

ホシノミヤ様、いろいろとご教示ありがとうございます。

> 裁判によって法的利益を持たない者は、原告になる資格は無いんです。
> 残念ながら、これは事実なんです。

はい、それらが事実だというのは了解できます。法律用語にはなるべく近寄りたくありませんが、釈然としませんねー。

> 「もんじゅ」のそれは、本当に、ただの願懸けですって。

起工式云々を引く喩えは是としませんが、「ただの願懸け」の趣旨は納得できました。

> 勝算があってこそ、増殖炉の研究を始めたのです

役人のバカさがいかに底なしかという事例がいくらでも出てくる昨今、その「勝算」がどのように成り立っているのかという点が不安だったりしますが。

投稿: baldhatter | 2005/06/17 2:54:09

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